2023年のキャンピングカーシーンをけん引した話題のベース車「フィアットデュカト」。RVランドからはバンライフ風の「Room」と「TT(タイムレストラベル)」の2台が誕生した。新世代のバンコン「タイムレストラベル」を紹介する。
天然ウッドがバンライフを演出
「バンライフ」という概念もすっかり日本で定着した。といっても海外のように完全にクルマで生活するライフスタイルの人が増えたわけではなく、旅する雰囲気・心地よい居場所といった新たな目線でのクルマ作りに活かされている。デザイン面で象徴的なのが天然ウッドの採用で、上の写真のように、タイムレストラベルも壁面に天然の木材を貼り込んでいる。やはり目が届きやすい部分に本物を使うと雰囲気はグッと高まるもの。
下の写真は入り口側からのカット。壁面のウッドが気持ちを盛り上げる。
クッションフロアも木目調で統一。家具も木材が使われており、スクエアな形状とモノトーンの配色で全体を引き締めている。ダウンライトも効果的に配置されていて、全体を通して見事なバランスで、デュカトをベースにRVランドの考える「バンライフ」がうまく表現されている。ちなみに入り口の網戸は純正装備のように見えるが、RVランドのオリジナル。パーツのクオリティも素晴らしい。
先進的なレイアウトと装備
「ハイエースのスーパーロングよりちょっと大きくて立って歩ける」デュカトL2H2。フロントシートに回転機構があるのも特徴。この車体にタイムレストラベルはありそうでなかった画期的なレイアウトを採用した。
まず、レイアウト図を見てみよう。
スライドレールに載ったセカンドシートに、横座りの対面ダイネット、ここまではハイエースバンコンなどでもよくあるニの字レイアウトに見える。ハイエースバンコンと大きく使い勝手が違うのが、その後ろにハイマウントベッド部分があるのと、フロントシートの回転機構だ。これによりタイムレストラベルはユーザーに合わせて使い勝手を変えられる1台となった。
基本となるレイアウトは反転させたセカンドシートと横座りの対面ダイネット。
標準装備の冷蔵庫と電子レンジにもアクセスが良く、4〜5人がゆったり座れるスペースが作れる。標準装備のFFヒーターの吹き出し口も足下に用意され居心地が良さそうだ。タイムレストラベルはここをメインの居場所として設計されているが、実はもう1パターンのダイネット展開方法も用意されている。それがフロントシートを使った展開だ。
このように、車両前方部分のみでダイネットを構成することができる。もしこのパターンのダイネットをメインとして使用するなら、後ろの横座りダイネットを常にベッドにしておくことができる。
横座りのダイネットは、背もたれをベースにセットするだけでベッドに変身。そのさらに後ろのハイマウントベッドと2段ベッド的にも使える。大きなベッドで寝たければ、ハイマウントベッドのベースを引き出してマットを置けば、大人2人用のベッドになる。
さらにセカンドシートをベッド展開すれば、ハイマウントベッドと合わせて最大4人の就寝スペースが完成する。
「メインダイネットでみんなでチル」「フロントと横座りの2ダイネットでグループに分かれる」「大人は前方ダイネットでのんびり、子供はリアの大型ベッドでゴロゴロ」など、メンバー構成と個々の生活ペースに合わせて自在にレイアウトが組め、それぞれのお気に入りの居場所が必ず見つかる1台だ。車内高があり、すっきりした室内デザインのため、どのレイアウトにしても閉塞感がなく快適なのも嬉しい。
タイムレストラベルはほかにも見どころが多い。セカンドシートはたたむことができ、前後いずれかにまとめればペットのケージなども置けるカーゴスペースが生まれる。
キッチンユニットの手前のテーブルは跳ね上げ式で、フロントダイネット展開時のテーブルとしても、調理台としても使えるつくり。電子レンジや冷蔵庫、水栓パーツなど、黒をうまく使いスタイリッシュに仕上げている。
リアのハイマウントベッドの下は収納庫に。エアコンの室外機が設置されているので一部場所が取られているが、それでも十分な容量。写真では大容量ポータブルバッテリーが置かれている。RVランドはエコフローをはじめとした電装系パーツの取り扱いに造詣が深く、リッチな電源設定も可能だ。
ルームエアコンは運転席の上部に設置。他のデュカトベースでは収納庫として活用されている例が多いが、空間を有効活用した独自の取り付け。
ランドワゴン タイムレストラベルはフィアットデュカトL2H2がベース。車両サイズは5410×2050×2525㎜で、6人乗車4人就寝が可能だ。