キャンピングカーで楽しむ

リチウムイオンバッテリー徹底解説(前編)

リチウムイオンバッテリーの基礎知識を解説!

キャンピングカーの世界で大きなトピックスとなっているリチウムイオンバッテリー。
今回いち早くリチウムイオンバッテリーに取り組み、独自のシステムも研究しているネクストエナジー・アンド・リソース社をオンライン取材。リチウムイオンバッテリーの概要や、サブバッテリーの定番である鉛バッテリーとの違いをはじめ、じっくりと紹介していきたい。

なぜリチウムイオンバッテリーが注目されているのか

ここ数年、キャンピングカーに家庭用エアコン(車載用DC12Vエアコンも)や電子レンジを搭載するモデルが急激に増えています。消費電力の大きいこれら家電品の搭載ニーズの高まりもあって、キャンピングカーのサブバッテリーの容量や性能、また充電方法をどう充実化させていくかがキャンピングカーの1つの差別化ポイントになっており、そうしたなかでリチウムイオンバッテリーとその充電システムが注目を集めています。

はじめに覚えておきたいバッテリー基礎知識

単位

電池に蓄えることのできる電気の量で基本はAh(アンペアアワー)で表し、ものによってWh(ワットアワー)表示もある。

使用時間の考え方

消費電流Aや消費電力W、サブバッテリー容量Ahからのおおよその使用時間の計算について注意事項と一緒にお伝えする。
●電圧V×電流A=電力W、Ah=電流A×時間h、Wh=電力W×時間h。DC12Vで容量100AhのサブバッテリーをそのままWh換算すると、容量1200Whとなる。サブバッテリー容量がAhで表されるのは、鉛バッテリーは充電状況によって電圧Vが(おおよそ10.5〜12.6Vで)変動するためといわれる。
●鉛バッテリーの容量Ahについては「時間率」を考慮する。キャンピングカーの鉛バッテリーの多くは20時間率で考えるが、これは100Ahサブバッテリーなら電流5Aを20時間連続して使用できるということ。鉛バッテリーは小さな電流Aで使うほど取り出せる容量Ahが多く(使える時間が長く)なり、逆に取り出す電流Aが大きいほど取り出せる容量Ahが少なく(使える時間が短く)なる。これは温度によっても変化する。なお、Cレートと時間率は似ているが、Cレートが大きいと流れる電流Aも大きくなり、一方時間率が大きいと流れる電流Aは小さくなる。
●AC100Vの家電品の場合、DC12Vのサブバッテリーの電気をインバーターを介してAC100Vに変換してから使用するが、このとき電気の変換ロスが生じる点に注意(約1〜2割減となる)。また変換ロスとは別に、インバーター自体も待機電力を消費するが、その消費量はインバーターの出力Wが大きいほど増える。

適正な充放電電流(Cレート)

各バッテリーには適正な充放電電流が規定されている。おおよその例で、同容量100Ahの鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーがあるとして、前者は充電時10A/放電時30A、一方後者は充電時100A/放電時300A、というような違いがある。なお、この規定はCレートと呼ばれるもので規定される(C=Capacityで、電池容量のこと)。放電レート1Cというと、定電流で放電したとき1時間で放電が終わる電流値を表し、先に例として出した100Ahリチウムイオンバッテリーの放電レート1C=100Aだが、実際に連続して放電できる電流は3C=300Aということになる。このCレートはスペック表などにも「充電電流:1C」というように出てきたりするので、用語として覚えておくと役立つ。一般的に鉛バッテリーよりもリチウムイオンバッテリーのほうが充放電電流は大きいが、後者の場合でも製品によってそれぞれ差がある。

リチウムイオンバッテリーとは

このリチウムイオンバッテリー、大電流充放電ができる、同容量の鉛バッテリーよりも小型にできたり軽量に作ることができる、長寿命である、充放電できる実容量が多い(放電深度が深く取れる)といったメリットがありますが、値段は鉛バッテリーと比べて高価。キャンピングカーに乗っている人にとって今もっとも気になるアイテムの1つといえるリチウムイオンバッテリーですが、その性能やコストを検討し、本当に必要かどうかを考えたいところです。

リチウムイオンバッテリーなら、大電流での充電も放電もどちらもOK
同じ容量100Ahだったとしても、リチウムイオンバッテリーのほうが鉛バッテリーより小さく、軽く作れる
リチウムイオンバッテリーのほうが、鉛バッテリーよりも一般的には長寿命

リチウムイオンバッテリーの実際

キャンピングカーのサブバッテリー用として、バッテリー単体で販売しているものを大ざっぱに見てみると、公称容量100Ahや105Ahの鉛バッテリーで2万〜8万円ほど(寿命や性能で開きがある)、公称容量100Ahのリチウムイオンバッテリーで17万円前後〜。

リチウムイオンバッテリーをキャンピングカーに搭載したい理由

そんな高価なリチウムイオンバッテリーですが、それでもキャンピングカーの業界で注目を集めている大きな理由として、大電流での充放電ができ、充放電時のバッテリー電圧の変化も少ないことが挙げられます。つまり消費電力(特に起動時の電力)が大きい家庭用エアコンや電子レンジなどを車内で使いたい人にとって、入出力電流に制限があり、容量の低下によりバッテリー電圧が降下していく(=安定して出力を得られない)鉛バッテリーよりも、バッテリーとしての性質が適しているといえます。
また、日本の夏場の暑さを考えると家庭用エアコンを長時間使いたいという人にとって、鉛バッテリーを複数搭載して容量を確保するのがこれまでの一般的な対応ですが、それによりバッテリー重量が増え、車体への負荷や車内スペースの圧迫というデメリットも生じます。リチウムイオンバッテリーの場合、鉛バッテリーと同容量のものを確保しても軽量化や省スペース化が図りやすく、また基本的にガスを発生させず熱の発生も少ないので、設置場所の自由度が高いのも魅力です。


リチウムイオンバッテリーの性質は、家庭用エアコンや電子レンジの車内使用に向いている。

リチウムイオンバッテリーのほうが電気を安定して取り出せる

同容量を確保するのに、バッテリーの性質上、鉛バッテリーだと3個必要なところ、リチウムイオンバッテリーは1個で済むということがあるので、軽量化・省スペース化につながる。エアコンや電子レンジの使用のためにサブバッテリー容量を大きくしたい場合、こうした物理的な面でのメリットもリチウムイオンバッテリーにはある。

用途と愛車にあうバッテリーを

これまで述べてきたような、おもに家庭用エアコンや電子レンジをたくさん稼働したいというニーズに対し、リチウムイオンバッテリーは有効なアイテムです。しかし、キャンピングカーではFFヒーターや冷蔵庫、照明などが使えれば十分という人にとっては、定番の鉛バッテリーでも性能やコスト的には十分なはずです。

また、キャンピングカーにサブバッテリーを搭載するという方法だけでなく、リチウムイオンバッテリーの進化とともに近年その性能が向上しているポータブル電源を車内でも利用する、そんなビルダーやユーザーも出てきました。容量や充放電性能に優れた製品も増えており、愛車のサイズや使いたい電化製品などを考慮すれば、ポータブル電源でも事足りるというケースもありえます。

消費電力の参考値

※すべておおよその参考値

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