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リチウムイオンバッテリー徹底解説(中編)

なぜリチウムイオンバッテリーが小型で軽量なのかを解説!

キャンピングカーの世界で大きなトピックスとなっているリチウムイオンバッテリー。
今回いち早くリチウムイオンバッテリーに取り組み、独自のシステムも研究しているネクストエナジー・アンド・リソース社をオンライン取材。リチウムイオンバッテリーの概要や、サブバッテリーの定番である鉛バッテリーとの違いをはじめ、じっくりと紹介していきたい。

なぜリチウムイオンバッテリーは小型で軽量なのか

リチウムイオンバッテリーの特徴として、鉛バッテリーをはじめニッカド電池やニッケル水素電池といった、充電を繰り返して使用できるほかの二次電池と比べて、小型で軽量なものを作ることができます。その理由は、ほかのタイプのバッテリーよりも「エネルギー密度」が高いためです。


エネルギー密度には「体積エネルギー密度(Wh/L、またはWh/㎥)」と「重量エネルギー密度(Wh/㎏)」の2つがあり、前者は単位体積あたりの電池の容量、後者は単位重量あたりの電池の容量を表します。このどちらも、リチウムイオンバッテリーは優れています。
つまり同じ体積、同じ重量でも、エネルギー密度がより高いリチウムイオンバッテリーのほうが、その容量は大きくなります。また逆にいえば、ほかの二次電池と同容量のものであれば、リチウムイオンバッテリーのほうが小さいサイズかつ軽量に作れるということになり、ノートパソコンやスマートフォンなどの電源に用いられているのにはこうした背景もあります。

別のエネルギーと比べると…

ちなみに、二次電池とは別のものになるが、ガソリンの体積エネルギー密度は9000Wh/L以上、重量エネルギー密度は12000Wh/㎏以上。こうして並べて単純比較すると、大きなエネルギーを持つことの難しさがわかる。

さらに詳しく内部構造から解説すると

複数のセルがひとまとめになっている。1個のリチウムイオンバッテリーとしてその性能をしっかり発揮するためには、各セル間のバランスをBMS(バッテリーマネージメントシステム)などで取る必要がある。(セル:単電池ともいう。いわば乾電池のようなもので、これをパッケージングしたものが1個のバッテリーとなる。)

そもそも金属自体の性質として、鉛は重く、リチウムは軽いです(リチウムLiは金属元素のなかでもっとも軽い)。さらに、鉛バッテリーは1つのセルの電圧が2.1Vほどであるのに対し、リチウムイオンバッテリーの1つのセルの電圧は3.2〜3.7Vとなっています。それぞれで12Vのバッテリーを構成するとなると、鉛バッテリーの場合6つのセルが必要ですが、リチウムイオンバッテリーは4つのセルで済みます(セルの数が少ないことで、バッテリー内部の排熱設計に役立っているケースも)。加えて、鉛バッテリーは電解液が硫酸やゲルであったりしますが、リチウムイオンバッテリーのほうはより軽い石油系の電解液となるなど、いろいろな点で小型化・軽量化ができるのです。

放電深度について

放電深度は、バッテリー容量に対してどれぐらいの量の電気を放電したかの割合を表すもの。100Ahバッテリーから70Ahを放電したら、放電深度70%となる。左上で解説しているバッテリーのサイクル数はこの放電深度と大きな関連があり、基本的に二次電池は低い放電深度で使っていくとサイクル数が伸びる。そして、実際にはどんなバッテリーでも、放電深度100%を使用するというわけにはいかない。
リチウムイオンバッテリーのメリットの1つは、この放電深度を深く取れること。「スーパーB」シリーズは、放電深度80%で運用して5300サイクルの寿命となっている。一方鉛バッテリーの場合は、おおよそ放電深度50%での運用(で記載されたサイクル数)となっていることが多い。そのため、リチウムイオンバッテリーのほうが実際に充放電できる容量が多く、同容量を確保するのに鉛バッテリーが3個必要なところ、1個で済むといったイメージ3のようなケースが成り立つ。