産業用クーラーを手がける大和電業が製品化した「キャンクール」。コンセプトは「外部電源がない環境でも長時間心地よく寝られる」。コンパクトで低消費電力と、車内のスペースが限られるコンパクトなモデルにこそオススメしたい新アイテムになりそうだ。
Camcool(キャンクール)
この車載専用の一体式クーラー「キャンクール」は、もともと「デンソー」の設計開発製造による純日本製のシステム。それを産業用クーラーを手がける大和電業が、キャンピングカー向けに応用できないかと企画を立ち上げ製品化し生まれたクーラーだ。外部電源がない環境でも長時間心地よく寝られるをコンセプトのもと、低消費電力と安全性、品質にこだわっている。そのため電源に関しては、DC12Vでは大電流が流れるデメリットがあるため、安全性と低消費電力実現のためにDC24V仕様を採用している。
スペックはこの通り。冷房能力は定格運転時700W、パワー運転時は800W。消費電力は定格運転時300Wで、パワー運転時には400W。サイズは奥行き480×高さ655×幅280㎜とスリム。吸排気は本体下部からとなっており、フロアに設置するつくり。そのため軽バンコンでも取り付けOK、さらにルームエアコンのような室外機もないのでサビや故障の影響がなく、ちょっとした空間でも装着可能。また冷媒ガスをビルダーが封入する必要もないので、工場で生産後の品質そのままで、ユーザーが使えるというメリットも。ただし電源はDC24Vを採用しているので、サブバッテリーからではなく、専用の電源が必要となる。
発売前にはフロット・モビールのモデルでしっかりテスト
発売前には、デンソーといろいろな縁があったフロット・モビールがしっかりテストしている。発売前のこのクーラーを預かり自社のタウンエースバンをベースにしたキャンピングカー「シュピーレン」に搭載し、まずはジャパンキャンピングカーショーで参考出品。その後、夏場の環境を想定した気温の屋内でテストした。
テストの結果はルームエアコンのような冷房能力や細かい温度設定はないが、製品性能としては十分という結果。その結果を受け、フロット・モビールで正式採用となった。ただし、多くの車載用クーラーと同様に車内が高温の場合は、このクーラーの能力だけで快適温度まで下げるのは難しいということもわかった。なので使用するときには、走行中のベース車のエアコンである程度車内温度を下げた状況から利用を始め、その適温をキープするという使い方が求められる。
実際に運転時の温度と騒音を測った結果はこうだ。吹き出し口温度は約24度Cで車内温度からマイナス6~7度C程度の能力。風量は3段階の切り替え。音量は、1は40~41㏈、2は46~48㏈、3は49~50㏈と、ルームエアコンと比較すると大きいのだが、コンプレッサーやモーターの駆動音ではなく、ほぼ風切り音。3カ所の送風口の口径が小さいのも影響していそうで改良予定だそう。
なお、このキャンクールは単体の販売はなく、ビルダーが架装する際の装着が前提となっている。価格は大まかに決定しているが、フロット・モビールの場合は約50万円からのオプション設定の予定だ。