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熊本地震では、駐車場で夜を過ごす被災者がいっぱいいた
「熊本地震から10年」を節目とし、熊本市が車中泊避難を支援するためのガイドラインを決定、マニュアルを策定した。
「熊本といえば、水害、地震と自然災害の発生しやすいエリア」……過去の事例からそんなイメージを持つ人も多いだろう。「令和7年8月豪雨」、「2016年熊本地震」、みなTVで現地の様子を知り、画面越しに心配・応援していた。
車中泊避難の方がいっぱいいたのも見てきた。後の行政の調査では地震のとき、熊本市民の約40%が車中泊避難を経験したとされている。「被災で車中泊」が当たり前になっている今、混乱する現場の指針となるマニュアル策定が急務となっていた。
それでもこの記事を読むキャンピングカーオーナーであれば、一般車の方に比べれば不安の度合いはいくらか低いのではないだろうか。災害地に取り残されたとき、燃料満タンで水と食料さえ積んでいれば、自車は優秀なシェルターの役割を果たしてくれるだろうと想像できたに違いない。
だが新ガイドラインでは、平時からの生活用品確認、指定避難場所の確認とシステム登録、車中泊避難体験会への参加、エコノミークラス症候群対策などと、ただキャンピングカーを所有しているというだけでは十分な車中泊避難ができないことを示した。いきなりの災害時に、車中泊避難用駐車場にはうまく入れるの? 医療支援を受けられるの? ということなのだ。避難するにも準備が必要。
なお、キャンピングカーオーナーにはペットといっしょに避難場所に入ることを希望する人も多いと思われるが、マニュアルにペット関連の記載はない。熊本地震のときも、ペットについては話題になっていたのだが。

被災の経験を車中泊避難のガイドライン、マニュアル作りに!
対自然災害ということでは被災経験から一歩他をリードしている熊本市だ。これまでも避難状況の把握ができるスマートフォンアプリ「くまもとアプリ」を2024年3月から提供など、先んじて積極的に防災に取り組んできた。そして、2026年3月には全国の自治体初ということで「車中泊避難のガイドラインとマニュアル」を発表。
「災害時の車中泊避難等の課題解決に向けた研究に関する連携協定」における3者(崇城大学、BosaiTech株式会社、熊本市)で検討されたもので、大規模災害が発生した場合に、やむを得ず車中泊避難を行う市民の安全を守ることを目的としている。このガイドラインに基づき、車中泊避難者支援の取組が進められる。車中泊避難を考える人に向けて、事前にできることや災害発生時に取るべき行動をまとめたマニュアルが作られた。
【くまもとモデル】車中泊避難ガイドラインの特徴
<「災害関連死を防ぐ」が目的>
以下、ガイドラインを熊本市の資料から抜粋する。
①避難者による自主運営と車中泊避難支援システムでサポート
「車中泊避難場所での避難生活は避難者同士での協力による自主運営になります。市は物資や健康関連の支援を行います。特にエコノミークラス症候群などの災害関連死を防ぐために、出来る限り日常と同じ生活をおくれるよう車中泊避難支援システム(以下、「システム」という。)で避難生活をサポートします。」

②車中泊避難専用トリアージマニュアル
「車中泊避難の主な課題は健康問題です。エコノミークラス症候群などの健康問題のリスクが高い避難者をスクリーニングし迅速な対応を行うために、車中泊避難している「車両」をトリアージします。保健師などの健康観察をトリアージした高リスク者から適切な対応を行います。」

③官民連携によるシステムを活用した車中泊避難の運営
「車中泊避難場所は避難者による自主運営となり、システムで運営をサポートします。車中泊避難場所においても、人的支援がある方が避難者の安全を確保できます。そこで、周辺の民間協力者(防災士など)を事前に募り、災害時には集まることが出来た民間協力者にて、システムを活用した車中泊避難運営を実施します。」

④平時から自助力向上のための告知活動
「車中泊避難場所は、避難者同士の協力による自主運営が基本となります。そのため、車中泊避難においても、平時からの備えが大切で、市民一人ひとりの自助力向上のために車中泊避難に関する広報活動を行うことが大切です。」
「熊本市車中泊避難マニュアル 避難者向け 発災時避難編
(車中泊避難場所内)」では、避難場所での実際の問題点を先取り
市のガイドラインとは別に実際の車中泊被災者に対してのマニュアルも示されている。内容は、避難場所指定、健康リスク周知、避難場所運営、やるべきこと、ルールとマナー、スケジューリングなどについて。
車中泊ということで、特にエコノミークラス症候群については詳細に扱われている。

避難場所ではこんな1日が繰り返される
マニュアル末尾には「車中泊避難場所での一日の流れ(生活モデル例)」が記載されている。避難場所での生活がイメージしやすいので以下転載しておく。食事のタイミングは忙しそうだ。
6:00~ 7:00起床(散歩、朝食の準備・配布の手伝い)
7:00~ 8:00朝食(朝食の配布、片付けの手伝い)
8:00~12:00自由行動(清掃の手伝い)
11:00~12:00昼食(昼食の準備・配布の手伝い)
12:00~13:00昼食(昼食の配布、片付けの手伝い)
13:00~17:00自由行動(清掃の手伝い)
17:00~18:00夕食(夕食の準備・配布の手伝い)
18:00~19:00夕食(夕食の配布、片付けの手伝い)
19:00~22:00自由行動(清掃の手伝い)
22:00~06:00消灯・就寝
では、災害が降ってこないことを願いつつも、知識と物資の準備を忘れずに!
旅から帰ってくるときは、疲れていても最後に満タンにしておくこと!これ、ダイジ。
文●オートキャンパー編集部 画像●熊本市
●問い合わせ
・熊本市政策局危機管理防災部防災対策課(096-328-2360)
https://www.city.kumamoto.jp/default.html
・「車中泊避難を支援するためのガイドライン及びマニュアルを策定しました」
(こちらからマニュアルPDFのダウンロードが可能)
https://www.city.kumamoto.jp/kiji00370044/index.html




