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3D商談ツールから家具製作、縫製まで。内製にこだわり、理想をカタチにする。レクビィのクルマつくり

湯目由明
湯目由明

1984(昭和59)年の創業以来、時代の変化やニーズを的確に捉えたオリジナリティ豊かなバンコンを作り続けるレクビィ。機能性とデザイン性に優れる多彩なモデルが生み出される製造現場を訪ねて、職人の手仕事と機械を組み合わせた効率的かつ高品質なモノづくりを覗いてみた。

「やきものの街」に息づくクラフトマンシップ

超ロングセラーのファイブスター、「和モダン」をテーマにしたカントリークラブなど、日本のバンコン史に燦然と輝く名車を数多く輩出するレクビィの本社工場は名古屋近郊のベッドタウン、愛知県瀬戸市にある。

周囲を標高100~300mの山々に囲まれた丘陵地帯で、この地層にはやきものの原料になる良質な陶土やガラスの原料になる珪砂が豊富に含まれ、窯焚きに使う松などの樹林が広がり、多くの窯元や工房が集う世界有数の陶磁器産地として発展してきた。歴史あるモノづくりの街、瀬戸で育まれたクラフトマンシップが宿るレクビィのバンコンは、本社第1工場と2020年に完成した第2工場、2021年に開所した広島県福山市の福山工場で作られている。

今回取材に答えてくれたレクビィスタッフ。写真右から増田浩一代表、製造部・箕浦英二さん、広報部・長田拓也さん、広報部・安尾良友さん

限られた空間で年間約250台を多品種生産

ハイルーフ車の架装が主体の本社工場の年間生産台数は約250台前後。ミドル・標準ルーフ車をメインにする福山工場や協力会社も合わせると年間約350台前後の生産能力を有するが、限られた作業スペースと人員で効率的に生産するために、年間販売台数と生産計画を綿密に立てて迅速な供給に努めている。取材時(8月末)はベース車のハイエースとキャラバンがストックヤードに並び、供給が順調に進んでいることが垣間見えた。

ベース車が工場に入庫すると、架装の妨げになるルーフライニングや内装トリム類をすべて外しドンガラ状態にしてから、断熱→配線→家具組付け→内張り施工と工程順にレーンが仕切られた作業スペースに移される。ここは元々鉄工場だったので天井が高く、頑丈なH鋼で支えられている。

経験豊富なスペシャリストが丹精込めて仕上げる

木工、電装、内張りなど、各分野のスペシャリストが手際よく正確に作業を進める。ほとんどの職人が入社5年以上で、この道10年以上のベテランも多い。ひととおりの工程を経験し、あらゆるスキルを身につけた「一人親方」であるのと同時に、クルマ作り全体を通して見られるのが強み。

自分の工程が終わったら、次の作業者がスムーズに引き継げるように整えておく。誰かの指示を待ってから動くのではなく、周囲とコミュニケーションを積極的に取りながら作業全体の流れを汲んで、先を読んで能動的に行動できる現場対応力の高さも、限られたスペースでの少量多品種生産の実現に大きく貢献している。

デジタルとアナログをバランス良く活用

家具のデザイン・設計から木材のカット、組み立てまで自社で一貫して行なえるのがレクビィの強み。「昔は段ボールで型を取って、2.5㎜厚のベニヤ板に移して、それを12㎜、15㎜とベニヤの厚みを変えながら現場合わせで、1㎜単位で調整したものを、NC旋盤を動かすCADデータにするためにXYZ座標値を測定してデータ化しました」と、デジタル黎明期の苦労を振り返る増田浩一代表。

高精度な家具製作の要になる3D CADデータは、立体的な描写で家具の木目やシートの質感をもリアルに再現したカタログや、直営店(神奈川・レクビィ オスト ベネヴェント、愛知・レクビィ ステーション、京都・レクビィ エスト)やイベント会場での商談に用いられるデジタルシミュレーションツールの作成にも活かされている。

「実測した車両データに家具のNCデータや図面を落とし込み、木目の感じとか生地感とかクッションフロアの質感が、従来はグラデーションぐらいしか再現できなかったけれど、まるで本物みたいにリアルに再現できるようになりました(増田代表)」。
「実物を撮影したり、生地や壁紙のサンプルをスキャンしたりして、そのデータを縮小して貼り付けて合成しているからリアルなのです(広報部・長田拓也さん)」。

板材の切断面を保護・装飾する木口(ごぐち)処理。家具やテーブルの見た目を美しく仕上げて、強度を上げる重要な作業で、通常は手貼りやハンドツールを使って樹脂素材のテープを圧着するのだが、レクビィでは「エッジバンダー」と呼ばれる縁貼り機を使い、圧倒的なスピードと精度で仕上げる。この機械を導入しているビルダーは業界でも少ない。

NCルーター加工機にオペレーターがCADデータを入力すると、オートメーションで木材を切断・加工してパーツに仕上げていく。走行中はたえず振動が襲い、温度変化の大きいキャンピングカー組み込み家具に求められる高精度・高品質・高耐久を安定的に実現でき、長持ちで色褪せないサスティナブルなキャンピングカー作りを支える。

メイド・イン・瀬戸のキャンピングカーならではの装備が、カントリークラブに用いられる織部焼の陶器製手洗い鉢。瀬戸陶芸協会に所属する波多野正典氏の作品で、手作りゆえにひとつひとつの形が異なるために、器に合わせてキッチンキャビネットの天板をカットする。

「あるとき増田が織部の器を持ってきて『これでクルマ作って』というので、艶やかで深みのある織部の色に合う最高峰の織物、金襴をイメージした意匠を上部収納の棚板に取り入れ、和モダンのコンセプトに沿って仕上げました(製造部・箕浦英二さん)」。

内製へのこだわり

内装の出来栄えを大きく左右する縫製は、生地の裁断を外注している以外は自社で行なう。シートやベッドマットの縫製、生地の貼り込みなど、熟練の作業者が慣れた手つきで仕上げていく。内製にこだわる理由は安定した品質を保ち、仕様変更や細かいオーダーに迅速に対応できるから。レクビィの年間生産台数(約350台)すべての内装をここで手掛ける。

「他のビルダーさんが見学に訪れて、この工場の規模感で年間250台作っていると説明すると驚かれるんですよ」という箕浦さん。ここで作られるのはFRPルーム、家庭用エアコン、300Ahリチウムイオンバッテリーを軸にした電装システムを組み込んだフルスペックモデルが大半で、他の工場で作られたモデルの最終チェックもすべて本社工場で行ない、将来の商品化を見据えた研究開発にも積極的に取り組む。やきものに代表されるモノづくりが盛んな地で歴史を刻み、クラフトマンシップや美意識を磨き、限られた器のなかに求められる機能を収める「バンコン屋」としての矜持を感じた。

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