三菱自動車は9月2日、クロスカントリーSUV「パジェロ」のフルモデルチェンジを発表し、ワールドプレミアを実施した。新型は同社の中長期ビジョンを具現化する新世代フラッグシップに位置付けられ、今年度中に生産拠点であるタイを皮切りにオーストラリア、日本へ順次投入。来年度以降は世界100か国を超える国と地域への展開が予定されている。
1982年に誕生した初代パジェロは、本格4WDの悪路走破性と乗用車の快適性を融合し、日本のRVブームを牽引。ダカールラリーでは通算12勝(7連覇含む)を記録するなど、「砂漠の王者」として三菱の四駆技術を象徴する存在であり続けた。先代の誕生から20年という時を経て披露された新型は、単なる復活ではない。歴代が培った悪路走破性・信頼性、快適性・扱いやすさを研ぎ澄まし、そこに旗艦モデルにふさわしい上質さを融合。「独創進化」をキーワードに、劇的な進化を遂げた本格クロカンとして登場した。



高剛性ラダーフレーム×2.4ℓクリーンディーゼル。4WDファンを唸らせる屈強な骨格
車体構造には、専用開発によりねじり剛性を高めたラダーフレームを採用。過酷な環境下でも安心して走り続けられる高い信頼耐久性を確保している。

サスペンション
接地性に優れるサスペンションとし、リヤには新開発の5リンク式リジッドを採用。オフロードでの路面追従性と、オンロードでの優れた乗り心地を高次元で両立させた
パワートレーン
進化させた新世代2.4ℓクリーンディーゼルエンジンを搭載し、新開発の8速スポーツモード付オートマチックトランスミッションを組み合わせる。厳しい排ガス規制に対応しながら、力強いトルクと滑らかな加速性能を発揮する
4WDシステム
三菱最高峰の四輪制御技術「S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)」を搭載。4つの駆動モードを切り替える「スーパーセレクト4WD-II」に7つのドライブモードを連動させ、路面状況に応じた最適な走行性能を引き出す。
低速域の粘り強いトルクから高速走行まであらゆる道を、自信を持って進める盤石のパッケージングだ。
「悪路を走破する」から「悪路を快適に移動する」へ
新型パジェロの開発で特に際立つのが、独自指標として「悪路快適性」を明確に設定した点である。キャンプ場へ続く未舗装路、雪深い峠道、荒れた山道。本格4WDが目的地に辿り着けるのは当然として、その過程で不快な振動や揺れが続けば乗員は疲弊してしまう。新型では、北海道・十勝研究所に新設したオフロードコースや、タイ、豪州、アフリカなど世界各地で実走試験を重ね、振動や揺れ、作動音を徹底的に抑制した。

キャンピングトレーラーの「ヘッド車」としての資質
キャンピングカー・アウトドア派にとって最大の注目点は、トレーラーを牽引するヘッド車としての適性だろう。トレーラー牽引には、太い低速トルク、車体剛性、リヤサスペンションの安定性、そして長距離走行時の疲労軽減性能が強く求められる。新型パジェロの専用開発高剛性ラダーフレームや、リヤの5リンク式リジッドサスペンションは、重量物を後方に連結した状態でのふらつきやピッチングを抑えるうえで極めて有利に働く。
また、キャンプサイトに進入する直前の荒れた未舗装路でも、4つの駆動モードと7つのドライブモードを誇るスーパーセレクト4WD-IIが確かなトラクションを発揮する。国内仕様における最大牽引重量やヒッチメンバー設定など、今後の詳細発表が大いに待たれるところだ。
【車中泊への適応力】移動時間そのものを「上質な旅」に変える
室内は全席でゆとりのある空間を確保。2列目シートには大きなシートスライド量と前方に跳ね上げるタンブル機構を両立させ、3列目シートの着座姿勢にも配慮された。

静粛性の恩恵
高い気密性と遮音性能により、道の駅やキャンプ場での車中泊時も車外の騒音や雨音が遮断され、落ち着きあるプライベート空間を維持しやすい。
柔軟なスペース展開
タンブル機構によって広大な荷室フロアを素早く展開でき、大型アウトドアギアの積載や就寝スペースの確保に柔軟に対応する。
移動を豊かにする装備
ヤマハと共同開発した音響システム「ダイナミックサウンドヤマハ アルティメット」を搭載し、移動時間そのものを心地よい体験へと変える。
大型キャンピングカーのような常設ベッドを持たずとも、「日常使いできるサイズ感で、週末は気軽に夫婦やソロで車中泊へ出かける」というユーザーにとって、極めて頼もしい選択肢となる。

【防災シェルターと移動基地】有事に家族を守る「走破力」
近年多発する自然災害の視点からも、新型パジェロのスペックは心強い。本格SUVとして十分な最低地上高や対地アングルが確保されており、荒れた路面でも底打ちを恐れず進める安心感を持つ。地震や豪雨、豪雪による道路寸断・冠水・スタックといった極限状況下において、屈強なラダーフレームと「S-AWC」による四輪協調制御は確実な走破力を発揮する。「普段は外遊びを楽しむ相棒が、いざというときは家族を安全地帯へ避難させるシェルターになる」という価値は、現代のアウトドア派にとって見逃せない要素だ。
デザインコンセプト「グランドカリスマ-泰然自若-」

デザインコンセプトは「グランドカリスマ−泰然自若−」。「時代の先を見据え、未来の挑戦を楽しむ静かなる冒険者」をイメージし、堂々とした佇まいの中に野生を宿した造形とした。
エクステリアは、初代から受け継ぐ水平基調でスクエアなフォルムを継承しつつ、プロポーションを1から再構築。初代パジェロのロールバーからインスパイアされた特徴的なCピラーや、立体的に進化した「ダイナミックシールド」、Tシェープランプシグネチャーが力強い存在感を主張する。

インテリアも水平基調のインパネにより広い前方視界を確保し、車両感覚を掴みやすく設計。初代へのオマージュであるアシストグリップや、歴代の3連メーターを進化させた現代的なマルチメーター、職人の手作業によるS字ステッチなど、機能美とクラフトマンシップが融合している。

「冒険心」に火をつける、新時代の相棒
新型パジェロは単なる名車の復刻ではなく、三菱自動車のブランドを牽引するフラッグシップモデルである。かつて80〜90年代のRVブームに胸を躍らせた世代は今、子育てを終えて自由な旅を楽しむベテラン層、あるいは本格的なキャンプやトレーラーライフを満喫するアウトドア派となった。新型パジェロはこうしたアクティブシニア層に向け、確かな答えを提示している。
今後は、新型パジェロを頂点としてコンパクトSUVやスモールSUVを加えた「パジェロシリーズ」の展開も予告されており、その動向から目が離せない。
