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フェーズフリー協会に聞く。遊びを「最強の備え」に。 必要なのは「防災グッズ」ではない。いつもの道具に「+α」の視点を持つこと

伴 隆之

キャンピングカーは旅を楽しむだけでなく、いざという時に家族を守る最強の拠点になる。
オートキャンパー2026年4月号より、遊びながら備える「+α」の発想を取り入れた、これからの新しいギア選びの提案を、特別にお届けしていく。

遊びの延長に、最強の備えを。日常をアップデート

2026年は東日本大震災から15年という節目を迎え、防災意識は確実に高まった。しかし、いざというときのための「特別な備え」は、日常の中ではどうしても機能しにくい。せっかく用意した道具が宝の持ち腐れになったり、食料の消費期限管理が負担になったりと、意識と行動のギャップに悩む現状があるのも事実だ。
本特集では、「日常の道具」を有事の「武器」へと昇華させるための「+a(プラスアルファ)」のギア選びを提案する。それは単なるスペックの追求ではない。
キャンプや趣味を楽しむ時間が、そのまま大切な人を守る盾になる。日常の意識を、いま一段引き上げてみよう。

フェーズフリーってなに?

「フェーズフリー」という言葉。
最近、耳にする機会が増えたと思う。直訳すれば「時間(フェーズ)の区切りがない」ことを意味する。これは日常と非常時の境界をなくし、「いつも」がそのまま「いざというとき」の備えになるという考え方だ。特別な防災対策を講じるのではなく、日頃の道具選びや生活意識を変えることで、無理のない災を実現する「心構え」と言い換えてもよい。それは道具の選び方だけでなく使い方など、生活意識を表している。
実は、フェーズフリーは日本発の概念であり、現在は海外にも広がりを見せている。この理念を提唱し、ライフスタイルの向上を掲げる一般社団法人フェーズフリー協会の佐藤唯行氏に話を聞いた。

フェーズフリー協会の佐藤唯行氏

防災意識と行動のギャップを埋める

2026年3月11日に、東日本大震災から15年を迎えた。この間、防災への意識は確実に高まったものの、実際の行動が伴わない現状がある。いつ使うか分からない道具への投資や、食料備蓄の消費期限管理といった手間が壁となっているからだ。購入しても消費期限切れだったり電池切れだったりしていたり……。
フェーズフリーは、日常的に使用する道具やサービスが自然と備えになるため、こうした心理的・時間的負担が極めて少ない。
この価値をひと目で識別できるよう、2019年に創設されたのが「フェーズフリー認証(PF認証)」制度だ。特定保健用食品(トクホ)のように、製品の価値を証明する仕組みであり、認証制度の開始以降、市場は年々拡大している。なお、認証には有識者による厳正な審査が行なわれ、一定の基準をクリアする必要がある。

キャンピングカー初の認証「エクスペディションストライカー」

キャンピングカー業界では、日本特種ボディーの「エクスペディションストライカー」が昨年9月、初の認証を取得した。
AT限定普通免許での運転を可能にした汎用性の高さに加え、シャシーをあえてねじらせることで悪路での路面追従性を高めた技術力が、フェーズフリーとしての価値を認められた格好だ。
もともとキャンピングカーは「衣・食・住」の機能を完備しており、過去の災害でも避難シエルターや医療拠点のサポートカーとして活躍してきた実績がある。ただし、すべてのキャンピングカーがフェーズフリーに該当するわけではない。居住性が検証されるのだ。 今後、法改正も進む中で「PF認証マーク」の有無は、基準になりつつある。普段の暮らしに溶け込み、いざというときにも頼れるアイテムを選び、それがフェーズフリーな暮らしへの第一歩となるだろう。モデルごとに、標準的な車両を超えた付加価値が求められるのだ。
今後、道具を選ぶ際は「PF認証マーク」の有無を一指針にすることを推奨したい。従来の防災セットを見直し、日常を豊かにしながら万一の際にも頼れるアイテムを選ぶ。それがフェーズフリーな暮らしへの第一歩となるだろう。

エクスペディションストライカーの車内
エクスペディションストライカーの車内
オートキャンパー2026年4月号