キャンピングカーと楽しむ

バンコン屋の知見を注いだボランティアのためのクルマ。レクビィ「プロンテVVDR」

水と電力に困らず自己完結活動が可能に
湯目由明
湯目由明

ジャパンキャンピングカーショー2025でJRVA(日本RV協会)が設けた「防災エリア」に展示されて注目を集めた、レクビィが提案する災害ボランティア用キャンピングカー。「被災地支援に赴く災害ボランティア活動を支えたい」という代表の思いをカタチにするために、創業40年を超える老舗ビルダーの知見を機動力に優れるハイエースに詰め込んだ。

‶バンコン屋″にできる被災地支援を考えた

『防災の観点から「バンコン屋にできること」を考えると、ハイエースのスーパーロングとトヨタ救急車(ハイメディック)は屋根の高さを除けばサイズ感がほぼ一緒なんです。大規模災害時には、がれきなどを取り除いて緊急車両が通れる道を確保する‶道路啓開″が実施されて救急車=ハイエースが通れるようになります。運用面においても、キャブコンベースだと免許の取得時期によって普通免許で運転できる車種に縛りが出てきますが、ハイエースならば誰でも運転できるので使い勝手がいい。ならば「ウチが得意とするハイエースベースのボランティアカーを作ろう!」と思いつきました』とプロンテVVDRを着想した経緯を語る、レクビィの増田浩一代表。

モデル名のVVDRは「ボランティア・ビークル・ディザスター・リカバリー」の略。アタマのVVは企画の立ち上げ当初、BtoC(一般ユーザー向け)への訴求を意識していたことの証で、前述のJCCSを皮切りに各地のイベントに出展し、キャンピングカーの「災害対策にも有効なモビリティ」としての側面を幅広い層にアピールし、レクビィブランドの周知にも貢献した。

VVDRからSVDRへの進化発展も検討中

自己完結でボランティア活動が行なえるライフラインの構築…高効率の電装システムや水の浄化装置など、技術の粋を集めて良いものは出来上がったものの、誰に買ってもらえるのかが課題になった。「ユーザーの希望に合わせてVVDRの内容をカスタマイズすればBtoB(企業)やBtoG(自治体)にも提案できる。SV(サポート・ビークル)DRとして、より広く普及させられるように努めていきたい」と、増田代表はVVDRを進化・発展させたモデルの構想を練っている。

これまでにVVDRを納入したのは医療法人など。医療関係者がチームを組んでVVDRに乗ってボランティアとして被災地に入り、支援活動を行なう。

被災地におけるボランティア活動は、移動、食事、宿泊場所を自前で用意し、被災地や被災者に負担をかけない「自己完結型」が基本だが、VVDRは「都道府県知事からの要請で市民ボランティアが被災地に向かうことを想定したキャンピングカー」をコンセプトとし、2~3人のボランティアが自己完結で活動することを目的にしている。

ベースはカントリークラブ

VVDRのベースになったのは、リヤに防水マルチルームを備えた「カントリークラブ」。「和モダン」をコンセプトしたフラッグシップモデルだが、ソファ兼用の2段ベッドや電子レンジ、リチウムイオン電池、ソーラーパネル、家庭用エアコンなどを搭載し、居住性の高さから災害時の一時避難用や、工場が被災したときの「走る復旧拠点」としての需要があった。

安全性の高いDC24V電装「パワー・シュア・システム」を構築

電装系は7.2kWhのDC24Vリチウムイオンサブバッテリー

電装系は7.2kWhのDC24Vリチウムイオンサブバッテリーを軸に、DC12Vへの降圧、3000Wインバーターを介したDC24V→AC100V変換で構成。高電圧のDC24Vは「水循環システム」などの使用機器の効率アップと配線の効率化が狙いで、DC12Vはキャンパー設備の電源、AC100Vは家庭用エアコンや電子レンジなど、家電品を稼働させるために用いる

排水を浄水し循環利用する「ピュア・サイクル・システム」

限りある水を再利用するための浄水循環システムはサードシート下に収まる。浄水機能を持たせ各種フィルターなどが収められる。シンクやシャワーで使った排水に含まれる異物や微細な固形物を各フィルターで除去し、逆浸透膜フィルターで細菌や化学物質を除去し、水分子のみを抽出。炭酸カルシウム(方解石)フィルターで酸性のphを中和し、味を改善して給水タンクに戻す仕組み。紫のボンベはセシウム134、セシウム137、ストロンチウム90などの放射性物質も除去できる逆浸透膜フィルター、緑のボンベはその他のフィルターになる

素材選びから使い勝手を突き詰めた車内

フロア材は土足で気兼ねなく上がれるように水に強い屋外用のポンリウムを使用。内装材を合皮に変更し、シートは傷が付きにくいレザー表皮を採用する

最後部に防水マルチルーム、助手席側に単座のFASPセカンドシート、固定サードシートで展開するダイネット、運転席側に常設2段ベッド兼ソファを配し、前席と居住空間を隔てるキッチンをフロントに設けた、動線に優れるレイアウトはカントリークラブと共通
2段ベッドはプライバシーが保てるように上下段に目隠しカバーとカーテンを装着し、電源と照明も個別に設けた
防水マルチルームには防災関連の総合企業、LA・PITA(ラピタ)が監修した活動ツール、ウォーターレスのラップ式トイレ、体を洗うときに石鹸を必要としないマイクロバブル水発生シャワーなどを設置
運転席側のエクステンションパネルは外部収納庫に利用。スコップ、バール、ロープなどのレスキュー工具が収まる

平時は企業の福利厚生、有事は自治体や団体の活動拠点に

「キャンピングカー=ライフラインが整っているから災害対策に役立ちそう」という漠然としたイメージから一歩踏み込んで、得意のバンコン作りを活かしてリアルに災害支援を想定した専用モデルを作ってみたいという思いを具現化したプロンテVVDR。バンコンの機動力を活かして、平時は企業が所有して従業員の福利厚生に使い、有事は自治体やボランティア団体に提供して災害支援の活動拠点に活用してもらうといった、二刀流の使い方ができそうだ。

プロンテVVDR

乗車人数4人/就寝定員3人/登録ナンバー8
価格:1537万8000円~
ベース車両:ハイエーススーパーロングワイドボディハイルーフキャンパー専用車
シフト・駆動方式6AT・FR
全長×全幅×全高:5380×1930×2400㎜
エンジン・排気量:直4DOHC・2693㏄
最高出力:118kW(160PS)
最大トルク:243Nm(24.8kgm)
使用燃料・タンク容量:ガソリン・70L

標準装備:
サブバッテリー、走行充電、外部AC入力、電子レンジ、冷蔵庫、給排水タンク、エアコン、FFヒーター、トイレ、シャワー、シンク、ほか

問い合わせ:
レクビィ
愛知県瀬戸市品野町3-3
電話:0561-41-3613
https://recvee.jp

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