
ジャパンキャンピングカーショー2022で日本導入が発表されたフィアット プロフェッショナル デュカト(以下デュカト)。といっても、デュカトが日本市場への導入が検討されたのは、今回が初ではない。思い返せば2017年の同会場で、同じようにバン仕様がキャンピングカー用途として、導入が予定されていたような……
目次
2017年からキャンピングカーとしての導入が計画されていた!
ジャパンキャンピングカーショー2022で再び日本導入が発表されたデュカト。振り返れば2017年の同会場で、同じようにバン仕様がキャンピングカー用途として、導入予定だったのだ。その計画はたち消えたかに思われたが、水面下で着々と進行していたのである。この数年間、日本でかなりテストをしていたようである。

現時点で日本には、すでにハイマーやアドリア、スイフト、ウィネベーゴ(ダッジラムプロマスターがベース=デュカトの兄弟車)、ローラーチームなどのデュカトベースのキャンピングカーが販売されているが、それらは海外のキャンピングカービルダーが自国で製造したものを輸入している。輸入車メーカー(インポーターであるFCAジャパン)が国内のキャンピングカー製作社に向けて正規輸入販売を行なうのは驚くべきことだ。ちなみに、フィアット・デュカトとは、2020年に40周年を迎えたイタリア製の商用車。世界中で15万台が販売され、ヨーロッパでのシェアはおよそ7割にも及ぶという、営業用途からキャンピングカー用途まで活用される万能モデルだ。

2022年のデュカトは各部がかなり乗用車的⁉︎
2022年モデルのデュカトは、2.3リットルのディーゼルターボエンジン(MULTIJET3)を搭載し、最大出力180hp、最大トルク450Nmを発揮。ミッションは9ATだ。また、商用車カテゴリーにありながらも、先進の安全装備が備わる(スピードリミッター、歩行者検知付き衝突被害軽減ブレーキ、クルーズコントロール、レーンデパーチャーウォーニング)。


インパネも豪華だ。フルデジタルの計器、10.1インチのタッチスクリーンモニターも備わり、AppleのCarPlayやAndroidAutoにも対応するという。

導入予定のデュカトはバン形状3種。キャンピングカーがより作りやすいフレームのみやトラック仕様は予定なし!
今回、日本に夏ごろ導入されるのは、3種類の大きさのバン。車体色はソリッドとメタリックの6色から選べ、運転席と助手席はキャプテンシート(回転する)、タイヤはキャンピングカー専用設計のものを標準装備。がしかし、荷室は未架装の状態で、がらんどうである。そう、喜ぶのはまだ早いのだ。デュカトは、一般ユーザーに直接販売されるわけではなく、キャンピングカービルダー向けに販売され、そこからユーザーに届けられるのである。




デュカトのサイズはデカいが最小回転半径は意外に小さい!
ボディサイズもなかなかにして大きい。多くのキャンピングカーメーカーがベースとして採用するハイエースのワイドボディスーパーロングハイルーフ(全長5380×幅1880×高さ2285㎜)の寸法と比較してみると……。
L2H2(標準):全長5413×全幅2050×全高2524㎜、ホイールベース3450㎜、室内スペース11.5㎥、最大積載重量1645㎏
L3H2(ロングホイールベース):全長5998×全幅2050×全高2524㎜、ホイールベース4035㎜、室内スペース13㎥、最大積載重量1540kg
L3H3(ロングホイールベース&ハイルーフ):全長5998×全幅2050×全高2764㎜、ホイールベース4035㎜、室内スペース15㎥、最大積載重量1540kg

一番小さい標準のL2H2でも、ハイエースのワイドボディより大きい。が、イタリアの狭い道でも使いやすいように最小回転半径は6.3メートル(ハイエースのワイドボディスーパーロングハイルーフは6.1メートル、ついでにグランエースは5.6m)だから、想像するより扱いは楽だろうし、広大な室内はレイアウト無限大だ。

どんなキャンピングカーができるか、想像してみる!
2022年の夏ごろにキャンピングカービルダーへデリバリー開始となると、デュカトベースのキャンピングカーが我々の前に現れるのは、どんなに早くても2022年冬ごろだろう。となると、来年のジャパンキャンピングカーショー2023あたりが大々的な発表の場となりそうだ。一部ハイエースベースのキャンピングカーの置換となるのは間違いないだろうし、ボンゴベースのキャンピングカーの後継にも使えそうだ。デュカトの存在によって、日本のキャンピングカー作りがまったく変わってしまうかもしれない。FCAジャパンの代表である、ポンタス・ヘグストロムさんは、「キャンピングカー業界の風雲児」だとデュカトを称したが、それを我々が判断できるのは、もう少し先のことではあるが。