国内キャンピングカーのベース車として浸透してきたデュカト。日本でその存在が広く知られるようになった背景には、「このクルマを日本へ届けたい」という一人のビルダーの強い思いがあった。そのビルダーこそ今やインドアジア太平洋地域で、デュカトの販売台数No 1である「トイファクトリー」。
デュカトを日本へ
トイファクトリー代表の藤井昭文氏がデュカトに強く引かれたのは、ドイツ・キャラバンサロンでのこと。その完成度やパッケージングは、日本で見慣れた車両とは大きく異なっていた。
室内空間を生かせる低床設計や広いボディ、長距離移動を前提とした走行性能。そのポテンシャルから「日本でも必ず求められるクルマになる」と確信したという。

展示会へ足を運ぶたびに現地スタッフと対話を重ね、2015年には本国で直接プレゼンテーションを実施。日本市場の可能性を訴え、その後もFCAジャパン(現ステランティスジャパン)との対話を続けながら、日本導入への働きかけを進めていった。
ダヴィンチが示す思想

デュカトをベースに開発するうえで重視したのは、欧州仕様をそのまま持ち込むことではなかった。国内ユーザーの旅のスタイルや使い方を踏まえ、広さや走行性能をどう生かすかを考えた。
「使う人が求めていないのに、これだろうと押しつけるのは違う」
メーカーの考えだけで商品を形にするのではなく、実際に使う人の声を反映させる。その姿勢はダヴィンチにも受け継がれている。
人の動線や荷物の出し入れまで考えながらレイアウトを決定し、設備を増やし過ぎず、必要な機能を使いやすく配置する。何を設け、何を省くのかという判断には、トイファクトリーが積み重ねてきた経験が生かされている。
さらにダヴィンチでは、ドイツ・ハイマー社でメインデザイナーを務めたフランク・ヴェンダー氏がインテリアデザインに参画。トイファクトリーが培ってきた家具造りと欧州のデザイン思想を融合させ、機能性と美しさを両立した室内空間を形にしている。
見えない部分まで手を抜かない
デュカトベースのキャンピングカーにも、トイファクトリーが長年培ってきたものの造りの考え方が受け継がれている。その代表が、ハイエースベースでも磨き続けてきた断熱施工だ。
断熱は目に見えにくい部分だが、車内で過ごす快適性を左右する重要な要素。ベース車が変わっても、その考え方は変わらない。表からは見えない部分にも手を抜かず、積み重ねてきた技術をデュカトにも惜しみなく投入する。その姿勢が、トイファクトリーらしい品質を支えている。

マーケットを作る
デュカトは輸入するだけでは市場に定着しない。車両の特徴や使い方を伝え、安心して乗り続けられる環境を整える必要がある。藤井氏は、それを「マーケットを作る」という言葉で表現する。
日本ではボディサイズや運転感覚、整備環境などへの不安もあった。そこで自ら長距離を走行し、高速道路での安定性や燃費、居住性などを確認。良い点だけでなく、使い方や注意点まで含めてユーザーへ伝えることを重視した。
「良いところだけを話しても、実際に乗り始めれば分かります。気になる部分も含めて、きちんと説明しなければいけません」
その姿勢は納車後の満足度にもつながり、長距離移動の快適さや車内高の余裕、生活空間の広さなどが高く評価されてきた。「もうハイエースには戻れない」という声も少なくないという。
車両供給から架装、販売店での説明、アフターサポートまで。それぞれが積み重なり、安心してデュカトを選べる環境が生まれた。
積み重ねてきた信頼
デュカトベースのモデルは年々増え、実際に利用するオーナーの声も広がることで、その特徴や使い方への理解も深まってきた。
藤井氏は、市場は一社だけでは作れないと話す。インポーター、ビルダー、販売店がそれぞれ役割を果たし、ユーザーが安心して選べる環境を整えていくことが大切だという。
藤井氏にとってデュカトは、単なるベース車ではない。初めて出会った時から「日本でも必ず受け入れられる」と信じ続け、自ら乗り、ユーザーの声を聞き、市場を育ててきた存在だ。
「クルマを売るだけでなく、安心して乗り続けられる環境まで含めてマーケットを作ることが大切」
本国への働きかけから現在まで、その考え方は一貫して変わっていない。車両を販売するだけでなく、安心して使い続けられる環境まで含めて市場を育てる。その積み重ねが、今日のデュカトの信頼につながっている
