キャンピングカーの基礎知識

じつはあなたにもピッタリ?キャンピングトレーラー入門!乗る前の「わからん」を大解説(後編)

キャンピングトレーラーのプロ、インディアナ・RVで聞いてみた

前編に引き続き、「キャンピングトレーラー」にまつわる「?」を、トリガノやクナウスといったキャンピングトレーラーを中心に、軽キャンピングカーのインディ727などを扱うインディアナ・RVに素直にをぶつけます!今回は、その仕組みや、お金のことを大解説!

キャンピングトレーラーについておさらい

通称トレーラーとも呼ばれるキャンピングトレーラー。それ自体にはエンジンなどの動力装置がなく、ヘッド車と呼ばれるクルマを別途用意し、それに連結して引っ張って移動する仕組み。車軸、足回り、タイヤ、ブレーキのみのシンプルな作りなので、同じサイズの自走式キャンピングカーに比べると室内がとても広いというメリットが。そしてシンプルゆえに機械的な故障も少なく、価格もリースナブルな傾向。そしていま日本で走っているキャンピングトレーラー、一部国産のものもあるが、その多くは輸入車で、主に北米と欧州からやってきている。北米のモデルと欧州のモデル、いろいろと違いや特徴があるが、気をつけておきたいのがブレーキの仕組みの違いがあることもポイントだ。

ダイネット。頭上には収納棚、壁面にはテレビも
もちろんキッチンや冷蔵庫もある
トイレやシャワーを備えたマルチルーム
大きなモデルになると室内に大きなベッドや独立洗面台を備えるモデルも

前編はこちらから

どんなモデルがある?

どんなクルマかわかってきたところで、いったいキャンピングトレーラーにはどんなモデルがあるのか。けん引免許がいらないモデルは狭くないのか…。聞いてみよう。

Q:コンパクトなモデルでも大丈夫?

けん引免許が不要な750kg以下のモデルでも十分なスペースがある。もちろん大きなものになればなるほど、設備が充実したり、就寝人数が増えたりと室内のしつらえも変化していく。

こちらはけん引免許不要なエメロード406。これでも就寝人数4〜5人と十分な広さ
一方、こちらはけん引免許が必要なクナウスのスポーツ。就寝人数は5人だが、キングベッドにもなるツインベッドを備えている。けん引免許が必要なモデルの大きさは天井知らずだ

Q:トリガノ社の日本専用モデル、エメロード406

輸入車が多いキャンピングトレーラー。今回話しを聞いたインディアナ・RVでもフランスのトリガノやドイツのクナウスといったトレーラーを扱っている。その中には日本の環境に合わせた仕様のモデルがある。それが「エメロード406」。開発にあたってはインディアナ・RVからもいろいろとアイデアを出したそうで、左側通行(フランスは右側通行)の日本に合わせてドアが左側に付いているなど日本での利便性を考えられて作られて、けん引免許も不要。

こちらのモデルは動画でも紹介中だ

気になる買ったあとのお金のこと

初期投資がリーズナブルでも、買ってからがスタート。その後にかかるお金も重要な検討事項。
自走式キャンピングカーの場合はなんとなくイメージしやすいが、キャンピングトレーラーの場合はどうなのだろうか。

Q:キャンピングトレーラーにかかる維持費にはどんなものがある?

A:一般的にクルマを所有するのにかかる費用と同じような項目で費用がかかる。動力がなくても車検が必要なので、ナンバープレートもつく。とはいえ、税金や保険料は普通乗用車1台分に比べるとかなり安い。なので、ヘッド車と合わせてまるまる普通車2台分になるというわけでもない。
そのほか、高速道路料金などもキャンピングトレーラーを引っ張って通行する場合は、普段の区分の1段階上の区分の料金になる(例えば、普通車でキャンピングトレーラーをけん引している場合は、中型車料金に)。
また、自宅にキャンピングトレーラーを置ける駐車スペースがない場合、別途駐車場を借りるお金も必要になる。

ナンバープレートを付ける場所がしっかり用意されている

Q:具体的にはどのくらい?

A:目安としては以下の通り。(2022年10月現在)
・自動車税(毎年):1万200円
・自動車重量税(2年に1回の車検ごと):8200円(〜1トンまで)
・自賠責保険料(25カ月):5250円
・車検代:68000円+消耗品代など
車検代は、インディアナ・RVに車検をお願いした場合の価格。インディアナ・RVでは車検の際に法律で決められたブレーキとランプ類の点検に加え、冷蔵庫やFFヒーターの点検、ガス漏れの確認などキャンピングカーとしての室内の装備についても点検を行なっている。
またそのほか、ヘッド車となるクルマの維持費やタイヤの買い替え費用などもかかる。ちなみにキャンピングトレーラーのタイヤだが、コンパクトなモデルであれば乗用車のタイヤとして出ているサイズのタイヤを使っている。もちろん冬期、積雪や路面凍結のあるような地域で走る際には、キャンピングトレーラーもスタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤなどを履く。

エメロード406のタイヤ。じつは乗用車でも使用されているサイズのタイヤだ
キャンピングカーとしてのトレーラーには、さまざまな設備もある。しっかり点検・整備していればトラブルも防げる

まだまだある、疑問質問。

乗ったことがないからこそ「わからない」ことがたくさん。
編集部が気になったことをざっくばらんに聞いてみた。

Q:キャンピングトレーラーだけで置いておいて盗まれない?

A:キャンピングトレーラーの盗難はほとんどない。
さらに、ブレーキを解除すれば手で動かすこともできるので、動かされる可能性がないわけではないが、 19 年トレーラーを使っているインディアナ・RVの降旗さんもそのような経験はないそう。心配な場合は、盗難やいたずらへの対策として、クルマと連結する部分であるカプラーにカギを付け連結できないようにしたり、タイヤロックをつけたりすることもできる。

車体には手で動かすための取っ手が付いている
ヘッド車と連結するためのカプラー

Q:キャンピングトレーラーを引っ張ったままでETCレーンを通れるの?

A:通れる。ただし、キャンピングトレーラーをけん引した状態でも通れるように、ETC車載器のセットアップが必要になる(すでにヘッド車にETC車載器がある場合は再セットアップでOK)。ETCの車載器を正しくセットアップしてETCレーンを通行すれば、普通車でけん引していない場合は普通車区分、普通車でけん引している場合は中型車区分とレーンのほうで自動的に認識するようになっている。
※2軸のキャンピングトレーラーはETCレーンでは正しく感知できないので、一般レーンを通る必要がある。

Q:キャンピングトレーラーで通れない道はある?

A:通常クルマが通れる道であれば通れるが、あえて細い道は通らず、大きな道を通るルートがオススメ。
また、車体のために路面の荒れている道やオフロードの走行は避ける。どうしても通らなければならないときは、徐行でゆっくりと。
急発進、急加速を避け、曲がるときにもゆっくりとした、キャンピングトレーラーに優しい走行を心がけたい。

Q:オススメのヘッド車は?

A:いま家族のライフスタイルに合ったクルマを所有していて、そのクルマでけん引できればそれがいいのでは。もしヘッド車の新規購入や買い替えを検討しているのであれば、ぜひそのクルマのことも相談してほしい。けん引できそうに見えて、そうではないクルマがあったり、排気量だけでは判断がつかないので、購入してから「けん引できない」とならないように……。

イメージにはあまりないが、セダンやハイブリット車でもけん引はできる

Q:自宅にキャンピングトレーラーを置くスペースがない人は、どんな駐車場を借りている?

A:月極駐車場など。
大きな広い駐車場でなくても、多少であればトレーラーを手で動かすこともできるので、いずれかの形でトレーラーとヘッド車を連結できるスペースがあれば大丈夫。ただ、トレーラーを停めることを申し添えて駐車場を探す必要があるので、駐車場のオーナーさんの考え方によっては、契約できない駐車場もある場合が。


前後編にわたって、たくさんの質問にていねいに答えてくれた、インディアナ・RVの降旗さん。店舗を訪れるお客さんからも、同じようにたくさんの質問をいただくそう。案ずるより産むが易し?ということで、キャンピングトレーラーに興味を持った方はぜひ怖がらずにお店やイベントでキャンピングトレーラーに触れてみてはいかがだろうか。

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