「そもそもキャンピングカーはいったいどうやって作られているのか?」 ご存じない方も多いだろう。車中泊車のようにベッドマットとフレームだけを取り付けるだけのものから、専用の車体にイチからシェルを搭載していくものまで、さまざまな架装・製造方法が存在する。今回は岡モータースの「ミニチュアクルーズ」の製作現場に潜入。どのようにして車両が作られていくのか?その現場を紹介していこう。
岡モータースとは?
と、その前に岡モータースを簡単に説明すると、1961年創業の歴史ある自動車ディーラー。2004年にキャンピングカー部門を立ち上げさまざまなキャンピングカービルダーの車両を販売。その後、2011年には自社初となる軽自動車ベースのオリジナルキャンピングカー「ミニチュアクルーズ」を発表。ミニチュアクルーズは家具の作り込みやデザインの高さなどで話題を呼び、今ではエブリイをベースにした「Cozy」「遍路」「SV」など派生モデルも誕生。さらに新型アトレーをベースにしたモデルもラインナップに加わり、シリーズ誕生から12年を迎えてなおファンを増やし続けている。
フィアットプロフェッショナル デュカト の正規販売店でもある!
また、昨年にはステランティスと「フィアットプロフェッショナル デュカト」の正規販売代理店契約を締結。最近話題になっているフィアット・デュカトの正規ディーラーとして、オリジナルモデルも近く登場する予定となっている。
さて、工場見学へ戻りましょうか?
今回お話を伺ったのは工場長の好井貴治さん。好井さんはミニチュアクルーズの生みの親でもある。
製作の工程はどういう流れ?
製作の工程は、①内装の分解 ②配線の下準備 ③家具の製作 ④家具の組み付け ⑤そのほかの機器の取り付け ⑥最終検査という流れとなっている。工場に踏み入れるとまずは架装を待つ車両がずらりと並ぶ。入庫した車両はまず内張りが外され、走行充電や外部充電、サブバッテリーといったキャンピングカーの基本となる電装類を装着する下準備として配線処理がされる。オプションであるルーフ内の断熱施工もこのタイミングで行なっている。
次に家具の製作。製造初期のころは手作りだったという家具製作は、現在では加工機であるNCルータが導入されており木材の裁断や穴開けは全自動。複雑な曲線などのカットもできるだけでなく、ハンドメイドならではの誤差や個体差が出ず、時短にもなるなど一石二鳥。カットされた家具はエッジバンダーと呼ばれる機械で家具の縁がモールディングされて家具の組み付けへ。ミニチュアクルーズシリーズの家具類は溝ほぞ接ぎと呼ばれる工法を採用し、強度や耐久性を確保しつつ余計な車重増を抑えている。
組み上がったらクッション材をクルマのボディに接触する部分に取り付けて車内へ運ばれボルトで固定。その後、スイッチやシンク、給排水タンクなどを取り付け、電装系の配線や水まわりの配管をしてほぼ完成。ベッドマットに関しては専門業者に製造を委託しているがそれ以外の作業はすべて、自社工場にて行なっているそう。
車内の架装がすべて終わったら注文時に制作した仕様書を元に営業担当者・製造担当者がそれぞれ検査するという「ダブルチェック」を行ない、ここをクリアしたら納車となる。
岡モータースでは平均の月産が約15~20台(モデル・仕様で差がある)。現在の納車は注文から約1年とその人気ぶりが伺い知れる。今回、潜入して分かったことは無駄のない工程により作業の効率化を図りつつ、高い品質管理により1台ずつ確実に作られているのがとても印象的だった。また、工場にいる職人たちのコミュニケーションも明るく活気あるものにも驚いた。年齢の幅も広く海外人エンジニアもいて、職場の雰囲気や熱気に物づくりの基本を教えてもらったのだった。
キャンピングカーメーカーの工場見学はまだまだ続きます。また次回、お会いしましょう!
TEXT&PHOTO:伴 隆之