軽キャンパーといえば4人乗車2人就寝というのが基本のサイズ。軽自動車1台分の広さしかとれないのだから当たり前だ。ではどうやって広さを確保するのか?ということで一部の技術力のあるビルダーが採用するのがポップアップルーフだ。
ポップアップルーフ架装で専有面積大幅アップ!
オートワンといえば「業界唯一の軽キャンパー専門店」として長年活動し、モンスターヒットを飛ばした軽キャンパー「給電くん」ほか、数々の名車を生み出してきたビルダーとして知られている。
キャンピング車には「2層式」という概念があり、ポップアップルーフやハイルーフの架装などで作られた空間はルーフベッドとして就寝部にカウントして良いことになっている。軽キャンパーという小さいモデルを相手にしてきたオートワンも当然早くからポップアップルーフづくりに着手しており、ルーフの仕組みやテント生地の工夫、確実な防水性能など製造ノウハウを積み重ねてきた。
ポップアップルーフの前に、まずフロアの部分から見てみよう。
「ピッコロキャンパー」はオートワンのロングセラーシリーズで、この「プラス」はシンプルで機能的なつくりが特徴だ。4人乗車でも荷物が沢山積めるように収納をスリム化ししている。乗車時はこのようにベッドマットは荷室におさまる。専用枕も右キャビネット内におさめられる。
フルベッドにした状態。脱着式テーブルは立てて収納出来るように工夫されている。
脱着式テーブルは大型なので、複数人で使うにも余裕のサイズ。
ベッドマットは軽く、適度なクッション性がある。サイズは長さ1980×幅1260mmで、大人2人が就寝可能だ。ベッドをフラットにするために、フロアの低い部分はかさ上げ加工がされている。かさ上げしてできた空間も収納庫としても有効活用。
また、ベッドにするために倒したセカンドシートの上にも板を敷いて高さを調整。なるべく簡単にベッドにできるようにと考えられている。
そしてこちらがポップアップルーフ内の写真。
ベッドサイズは長さ1850×幅1100mmで、こちらも大人2人が就寝できる。フロアベッドと合わせて合計4人のベッドが完成だ。よく考えられているのが、このポップアップルーフの仕切りはベッドマットではなく、床ボードにしてあるということ。一見「じゃあ就寝時に敷き布団を用意しないといけないのか、面倒だな」と思うかもしれないが、利用者が必ずしも全員ベッドとして使用するわけではないので、あえてこの形にしてある。
「寝ないのならポップアップルーフは何に使うの?」というと、車内で着替えるときなどに立てるというのが大きな利点なのだ。現に下から見上げるとこれだけの開放感がある。
ボードは軽いので、このように簡単に横によけておける。この部分を荷物置きに使うこともでき、フロアベッドを広々使って寝ることもできる。もちろんその逆で、荷物をフロアに残したまま、ルーフベッドで眠ることもできる。このため、仮に利用人数が4人いなくとも、軽キャンパーでポップアップルーフをつけるメリットは大いにあるのだ。
ポップアップルーフのテント生地には網戸付きの小窓を左右につけてあり、通気性も良い。ボディカラーに合わせた複数カラーのテント生地も用意されている。
フロアに戻って、収納部分を見てみよう。オートワンのほかのモデルより収納はスリム。寝起きに邪魔にならない後部の右サイドと最後部にのみ家具を設置している。このスリム化のおかけでフロア面積が大きく、26インチ自転車もそのまま積むことができる。重厚感のあるムク材を使用しており、この風合いが好きというファンも多い。
キャビネットを別角度から見ると、あえてウインドウの部分は埋めずに残すことで採光性を確保していることがわかる。
最後部の上部収納は両側に扉があり、車内外から物を出し入れできる。
必要装備が厳選され、広さを確保した1台。ファミリーユースにも趣味の基地としても使える。