冬の必須アイテムとしてキャンピングカーの人気装備で常に上位にランキングされるFFヒーター。エバス・ミクニのFFヒーターの主力機種が、最大暖房能力2kWクラスの「エアトロニック B2L」。車外に取り付けもできる自由度の高さがキャンピングカー製作ビルダーに支持される理由だが、本体の性能にも特筆すべき点が多い。暖房器具を車内で使うときは換気するのが基本だと思ってきたが、なんとB2Lは換気が不要らしい。どのような仕組みなのか?
安全でクリーンな燃焼が温かな風を作り出す
エバスペヒャーのヒーター「エアトロニック B2L」の断面図を入手したので見てみよう。
これをさらに図解したのが下のイラストだ。
本体の下から出る排気ガスの排気口と燃焼空気の吸い込み口は車外に通じている。車内には温められた空気だけが送られ、一酸化炭素は車外に排出される仕組みになっている。そのため稼働中の換気が必要ないのだ。
さらに安全性を担保するために、万が一エラーが起きた場合は稼働が強制終了されるように設計されている。
タイマー、故障診断、サーキュレーション、いろいろできるコントロールユニットも進化
B2Lはほかにもユーザーにとって恩恵のある機能が進化しており、たとえばこのコントロールユニット「イージースタートプロ」。
温度設定やスイッチのオン・オフがダイヤル操作で簡単に行え、見た目もスマート。タイマー機能が備わり、3件のタイマー設定が可能。
たとえば通勤で使っているクルマなら、土日を除く平日の朝のみ作動しておくようにタイマーをセットしておけば、クルマに乗り込む時には車内は温まっていて、面倒なガラスの霜取りも不要になる。温度センサーも内蔵し、車室内に設置すれば温度調整を的確に行ってくれる。
故障診断機能もついており、専用テスターがなくても故障診断ができるのもユーザーフレンドリーだ。
ダイヤルのまわりのイルミネーションは暗いところでの視認性を高める効果のほか、ヒーターの状態も色で知らせてくれる。赤は燃焼中、青は送風モード、緑と白に点灯している場合はエラー表示だ。
こちらがイルミネーション・青の送風モード。B2Lは暖房だけでなく送風ファンとしても利用できる。空気の取り込み口が車外に設置されている場合はベンチレーターとしても使えるし、エアコンの風を効率よく車内全体に行き渡らせるサーキュレーター的な使い方もできるのだ。つまりFFヒーターなのに夏でも活躍する。
本体はブラシレスモーターを採用し、耐久性も向上している。従来のブラシ付きモーターに使われていたブラシと整流子が不要になり、製品寿命も約5000時間にアップ。ヒーターの着火と余熱を行うグロープラグは5000時間での交換が推奨されているが、それも工具などなしに手でプラグを着脱できるようになった。作業は全国約120カ所のサービスショップで行う必要があるものの、作業時間が大幅に短縮されたので、ユーザーとしてもメンテナンス待ち時間が減るはずだ。
実際、取材に協力してくれたホワイトハウスの深澤冬樹さんも「従来の機種は専用の診断機にヒーターをつなぎ、パソコンのモニターで診断内容をチェックしていましたが、新しいB2Lはコントローラーに故障診断機能が備わっているので、故障原因の特定がスムーズになりました」と高く評価。
「エンジンを切っても使えるヒーター」という基本の機能がしっかりしているので気づきにくかったが、実は着実に進化を遂げている製品なのだ。注意したいのは一般ユーザーでは取り付けできないこと。FFヒーターの取り付けは講習を受けたプロのみ行うことができる。
エアトロニックS3 B2L
■暖房制御:ステップレス
■暖房能力:1.0〜2.0kW
■消費電力11〜26W
■燃料消費量:0.14〜0.26ℓ/h
■重量:2.5kg
■サイズ:長さ310×幅115×高さ122mm
<問い合わせ>
エバスペヒャー ミクニ クライメット コントロール システムズ
☎0570-083-392