キャンピングカー・ビルダー紹介

キャンピングカーの名車ZiLが作られるVANTECHの製造工場に潜入!

バンテックの「速納体制」のヒミツ

ZiLをはじめとした「VANTECH(バンテック)」のクルマが生まれる現場を取材。高クオリティで満足度の高いクルマがどのように作られるのか。そして、広くキャンピングカーの納車までの期間の長期化が顕著な状況で、速納宣言を掲げるVANTECHの製造の秘密に迫った。

Made in 山形

VANTECHの工場があるのは、山形県村山市。最上川のほとりの自然豊かな場所にある。現在は、2016年に操業を開始した第1工場と、今年2021年に操業を開始した第2工場の2つが程近い距離で建っている。第1工場では、ベース車とボディその他のパーツを組み合わせ、実際にキャンピングカーに組み上げていく工程を、第2工場では、その事前準備、組み込むパーツや装備の組み立てを行う。60人ほどが働くこの2つの工場がそれぞれ連携することで、スムーズそして正確にクルマが組み上がるのだ。
そういえば、この工場のある山形は、さまざまなフルーツの名産地としても有名だ。特にブドウとそれから作られるワイン。この山形では明治時代から作られてきていて、コンクールでも賞を受賞するなど質の高さも折り紙つき。今回、VANTECHのキャンピングカーで優雅な時間を過ごしてほしい、そして同じMade in 山形の高いクオリティをもっと感じてもらえるようにと、VANTECHでは、歴史あるワイナリーの一つ、朝日町ワイナリーのワインを樽で入手。オリジナルラベルを貼ったボトルに封入し、納車の際にオーナーにプレゼントするという。

VANTECHのキャンピングカーが生まれる場所:第1工場

2016年から稼働しているこちらの工場。ベース車とタイの工場から送られてきたボディ、そして電装製品などを含むその他の装備を組み上げ、キャンピングカーとして完成させる。その内部では、大きく3つの工程に分かれ、作業が進んでいく。
まずは、ベース車とボディを合体させる工程。それぞれ工場に届いたものをただくっ付ければいいということではなく、ベース車をVANTECHのキャンピングカーの仕様に合わせて、加工することが必要だ。キャンピングカーのボディに合うようにベース車のルーフを取り除いたり、必要なパーツや配線を付けたり。
キャンピングカーとして完成してしまうと見えない部分だが、VANTECHのこだわりはすでに始まっている。今回ベース車の1つであるカムロードがモデルチェンジを行った。それに対応する形でVANTECHのそれぞれのモデルも新型となったのだが、その変更の一つがショックアブソーバー。カムロードがダブルタイヤ仕様となったことで心配される乗り心地の面をよりよいものにできるよう、新設計となった。また、これも完成してしまうとなかなか見えないのだが、窓やドアがつく前のボディでは、断熱の構造も詳しく観察することができる。FRPと内装の壁面の間に空気の断熱層、そして素材の間に断熱材が入っているVANTECH独自のボディ構造「CSボディ」の様子も確認できた。

ベース車とボディが一体となった後、クルマは次の工程に進む。いよいよキャンピングカーの各種パーツなどが取り付けられていくのだ。バンパーや窓、ソーラーパネル、冷蔵庫やクーラー、シンク…さまざまなパーツが組み込まれ、どんどん見知ったキャンピングカーの姿になっていく。ここでも、組み立てのプロたちが、それぞれの仕様や注文内容にあわせて、間違いなくスムーズに組み上げていく。
そこで驚いたのが、工場内の整然とした環境。ここで使用する膨大な数のパーツや装備に、細かな部品。それらがきちんと整理整頓され準備されている。また、導線も明確に分けられており、作業に使う工具などもそれぞれ収める場所が決まっている。これもバンテックのこだわりの1つで、普段から整理整頓することで、部品やパーツを丁寧に過不足なくかつスムーズに、そして間違いなく取り付けていくことができるというわけだ。それに、このスムーズな組み立てには、稼働したばかりの第2工場も一役買っている。

そして、全てのパーツや装備の取り付けが終了したら、最後の工程である検査に進む。何百にも及ぶチェック項目を厳しくチェックし、必要な箇所はどんどん手を入れて完成度を上げていく。それにもし万が一ここでパーツに不具合が見つかっても、しっかりその場で対応できる体制が整っている。
この検査の全ての項目に問題がないとなれば、それぞれのモデルに応じたステッカーを貼り仕上げ、完成。いよいよこのキャンピングカーを待つオーナーの元へ旅立つ。

VANTECHの新しい戦力:第2工場

そんな第1工場からクルマで5分の場所に、2021年から稼働し始めた第2工場がある。アッセンブリー工場とも呼ばれているが、ここではキャンピングカーに使用するパーツを、それぞれの仕様に合わせて加工し、第1工場でスムーズに車体へ部品を付けられるように準備をしていく。いわば、VANTECHのキャンピングカー製造の肝ともなる工場だ。ここできちんと準備や加工が行われることで、実際のクルマへの取り付けがスムーズになる。

キャンピングカーに必要な膨大な種類の装備やパーツ、そしてそれに付随する配管や配線といった部品が、やはりこちらも整理されて準備されている。
見学の途中、電気関係の配線がカラフルに色分けされていたことに気付いた。これもやはりVANTECHのこだわりで、もし納車後のオーナーの手元でキャンピングカーに不具合が起こった場合、電話などで状況を聞き、そしてその時にできる対応を伝えやすくなるように、さまざまな色で配線を準備しているそう。確かに、「ヒューズから出ている配線」と言われるより「ピンク色の線がありませんか?」と聞かれたほうがはるかにわかりやすい。さらにそこできちんと状況が伝わり対処できるので、修理の手間や時間的な負担を軽減することにつながる。オーナーとのコミュニケーションは製造現場から始まっているのだ。

この第2工場の稼働は、クルマのクオリティの向上はもちろん、スムーズな車体組み立てにもつながり、無理なく納期を短縮することも実現している。この工場の存在も、「速納宣言」を掲げるVANTECHの「オーナーさんへの誠意の1つの形」だ。

新型カムロードに合わせて進化するZiL

大きなモデルチェンジがあったカムロードに合わせて、新型カムロードをベースとするZiLにもいくつかの変更点がある。すでに紹介したとおり、ショックアブソーバーの変更もそうだが、まずベース車の仕様に合わせて、6速AT、ダブルタイヤ、LEDライト、ソナーなどの安全装置、そしてディーゼル仕様車にはアドブルー搭載と、走行性能、安全性能が向上している。そのほか内装や装備面でも、MAXXファンが標準装備になるなど使う人やシーンを考えてブラッシュアップされている。今後も進化を続けるZiLからも目が離せない。

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