
乗用車やミニバンに比べて、なぜキャンピングカーの足まわりが快適性の面で今ひとつなのか?ここで検証したいと思う。まずは、各グレードアップパーツの効能からチェックしよう。

乗り心地が硬いのはなぜ?
ロングドライプなど、乗車時間が長いことも考えられるキャンピングカー。そんな場面で、乗り心地がもう少しよかったら……と、感じているオーナーも多いはず。まずはこからチェックして快適化への糸口を探ってみよう。
キャンピングカーのベース車として主流となっている商用トラックやバンなどの貨物車が目指すところは「たくさんの荷物を積んだ状態でも安定して走れること」。そのため足まわりには破損やトラブルを徹底して防ぐために、高い耐久性を備えることが重視されている。非常に丈夫な半面、これが「跳ね上げ」「揺り返し」「硬さ」などの乗り心地の悪さを発生させてしまうのだ。
そこで出番となるのがグレードアップ用の足まわりパーツだが、読者のなかにはアフター製品の高性能タイプへと交換すると、カープなどでのスピードを高めるためと認識している人もいるかもしれない。だが、それは早合点といえる。
各社からリリースされているキャンピングカー用のパーツは、乗り心地と操縦性の改善を主目的に設計されている。その副産物として走行時の限界性能は実質的に向上するが、見方を変えれば、そのぶん万が一の危険回避性能も高まっている。また、足まわりをしっかりと作用させるようにも働きかけタイヤの接地性も高まるため、結果的にブレーキ性能も確実に向上させる。
人や荷物をたくさん載せ、安全なクルマ旅のひとときを実現することが最大のテーマとなるキャンピングカーにとって、絶対欲しい性能だ。
この手のアフターパーツに対し、耐久性能を懸念する人もいるが、各社製品では精度面や強度面を最大限に高め長く使えるクオリティを実現しているので心配不要だ。
昨今のキャンピングカーは走行性能を向上させるために軽量設計を採用したり、風の影響をなるべく受けにくいシェルデザインや車両の重量配分にもこだわったりするなどさまざまな取り組みを行ない、ベース車の性能を阻害しない設計を徹底して施していることも付け加えておこう。
走る・曲がる・止まるという重要な性能を高め、快適なドライビングを実現する足まわりパーツのグレードアップ。多くの人に愛車への導入を検討してほしい。
Front ダブルウイッシュボーン式

国産キャンピングカーの主力車種、カムロードやハイエース、キャラバンなどのフロントサス構造。商用系のキャブオーバー型車では、乗車スペースと荷室の積載容量を確保するためサスペンションもコンパクトな形式のものが望まれる。そこでダブルウイッシュボーン形式の採用車がもっとも多いというわけだ。スプリングはミニバンや乗用車などのコイル式に対し、”トーションバー(ねじり棒)”と呼ばれる棒状のバネの組み合わせのため、反発力を伴う揺れを感じさせる。ただし、現在では社外品ダンパーや対策パーツを組み合わせた各種メニューもあるので、これらの問題も大きく改善できる。
Rear 車軸式半だ円板ばね式

リヤ側は鋼板を重ね合わせたリーフスプリングと左右車軸を一体型とした「車軸式半だ円板ばね式」が商用車にもっとも多いサス形式。カムロードとハイエース、キャラバンなど各車のリヤサスだ。重い荷物の積載に耐えるうえで最適な構造だが、やはり乗用車などのコイルスプリングに比べ周期的な振動がやや起きやすく、後席乗員には跳ね上げ感を与える傾向。その一方で人や荷物をたくさん載せて車重が増えると、今度は揺り返すような動きが生じ、乗り物酔いなどの原因となる。そこで乗用性能と荷物の積載量のバランスを取ったのが、後のページでクローズアップする各社の足まわりパーツ群。
ビルダーもベース車の性能を阻害しない工夫を注いでいる




快適性を高める各種パーツ
ダンパー(ショックアブソーバー)
スプリングの振動を抑えて、快適な乗り心地にする重要なパーツ。ガス式とオイル式があり、振動を収束させる力「減衰力」を調整すれば、荷物を積んだキャンピングカ一でも安定した走行が可能になる
エアサスペンション
「エアバッグ」と呼ばれる風船のようなパーツに空気を充填し、足まわりの硬さを設定できる。純正スプリングを残して追加する方式や、アブソーバーに置き換える方式など各社によって取り付け方法や用途が異なる
スタビライザー
車体のロール(横揺れ)を抑えると、乗り心地を向上させる。カーブや凸凹道での不安定感が軽減され、長時間走行でも快適に。パイプタイプや軽量素材を使用した製品が多数あり、快適性と燃費の両方で効果を発揮
ホイール&タイヤ
タイヤに負荷が大きくかかるので重量や走行環境に合わせた選択が大事。ホイールはアルミ製と鉄製があり、軽量のアルミなら走行性能が上がり、鉄製なら高耐久で変形しにくいなど、素材によって特徴が違う
ボディダンパー
オイル式や摩擦式があり、車体フレームに装着する。走行中にシャシーへとかかる応力の収束スピードをコントロールし、不快感を与える振動を抑制。コーナリング時もボディロールを抑え、安定走行も発揮する用途