キャンピングカーで楽しむ

【連載】キャンピングカーで「日本列島RVパークの旅」第26回RVパーク優活(岡山県)

伴 隆之
伴 隆之

キャンピングカーや車中泊仕様車でどこに泊まれるのかというと、道の駅や有料道路のパーキングを連想しがち……。でもこれらの場所は、休憩のための仮眠はオッケーでも宿泊できる場所ではありません。そこで利用したいのが、RVパーク。キャンピングカーの製造メーカーやディーラーで構成される日本RV協会が設置を進める「快適で安心して車中泊できるスペース」のことで、入浴施設やトイレ、電源設備などが備わります。実際にオートキャンパー WEB編集部が全国各地のRVパークに実際に泊まってその魅力をお伝えします。なお、2025年9月16日現在、日本全国にRVパークは560カ所ほど存在しています。

岡山と兵庫の境にある日生町は牡蠣で有名

岡山県の南東部、兵庫県との境にある備前市日生(ひなせ)町。ここは山林が多い町で、瀬戸内海に面しており、県内最大の鹿久居島をはじめ曽島、鶴島、頭島、大多府島など、大小13の島々がある日生諸島から成り立つ。また、本州と鹿久居島は備前♡日生大橋、鹿久居島と頭島は頭島大橋で結ばれており、観光やハイキングでも人気。島々が点在する海は絶好の魚礁となっており、縄文・弥生時代から漁業が盛んなことで知られている。日生町漁港では「五味の市」が開かれ、瀬戸内海で穫れた新鮮な魚介が格安で並ぶ。ここは特に牡蠣が有名で11月~3月のシーズンになると県外からも多くの人が牡蠣を求め訪れるため、このシーズンをねらって行くのもありだろう。

日生の台所とも言われる日生漁港の五味の市。瀬戸内海で水揚げされた魚介がずらりと並ぶ。11月~3月が牡蠣のシーズン最盛期だが、4~7月も岩牡蠣が食べられる

日生町までのアクセスは山陽道・備前ICから岡山ブルーラインを経由して約12km。県道397号は一部狭い道もあってすれ違いに気を付けることもあったが、国道250号に入ればそこからは快適。パークの近くに日生漁港はあるが、スーパーマーケットなどはないため、自炊派なら買い出しは250号線沿いの備前海の駅で済ませておくのがお薦め。備前海の駅は瀬戸内海で穫れた魚介が手頃な価格で手に入る。積載に余裕があれば、周辺散策用に自転車を積んでおくととても便利。

日生湾を望む、陸海空でアクセス可能なパーク

「RVパーク優活」は日生湾に面しており、事前予約すればキャンピングカーだけでなくボートやクルーザー、ヘリコプターからの陸海空とスリーアクセスが可能なRVパーク。

区画サイズは長さ・幅ともに7.2mと広い面積が特徴。利用可能台数は6台だが、イベントや貸し切りの場合、最大15台まで対応している。また、区画によっては若干だが傾斜しているところもあるが、レベルブロックの貸し出しも行なっているのもうれしいポイント。電源は1区画に20A(2000Wまで)のコンセントを4口装備。

訪れてみると区画のサイズに余裕があり、目の前には穏やかな日生湾や備前♡日生大橋が望め、心底落ち着けるロケーション。山陽道を使って旅する人たちに、心も体も休まるちょうどいい中継地点として利用されているというのも頷ける。

電源の延長コードやタイヤの下に敷いて車両の水平をとることができるレベルブロックの無料貸し出しもしている。トイレは1カ所で、その横には洗面台も備わる。トイレ建物横に水場やごみステーションがあり、どれも清掃やメンテナンスが行き届いている
ヘリポートの利用がなければ、ヘリポートでの車中泊も可能。日生湾や備前♡日生大橋を車内から眺めながらの宿泊ができる

パークの隣に一棟貸しのコテージや天然温泉「星乃湯」、キャンピングエリアなどを備えたリゾート施設「Villa Stella」があり、パーク利用者は事前予約をしておくと温泉やキャンピングエリアでのバーベキュー、クルージングなどの利用が可能となっている。

「星乃湯」は含弱放射能−カルシウム・ナトリウム塩化物冷鉱泉で、リウマチや腰痛、冷え性などに効果があると言われているほか、内湯以外にも屋根付き露天風呂もあり、景色が堪能できる。さらにバレルサウナも備わり、身体も整いリフレッシュができた。

RVパークは夕方を過ぎると前の通りはほとんどクルマが通らないため、至って静か。夜間は静寂で、就寝もしやすく快適だった。

瀬戸内海と言えば、広島・宮島や愛媛・しまなみ海道の島々、香川・小豆島などをよく耳にするが、日生の持つのどかな町並みや漁港の景色、ゆったりと流れる時間などがたっぷりと楽しめるのがこのRVパークの大きな魅力だと実感。

天然温泉「星乃湯」は見晴らしがよく、パーク利用者は大人1人1500円、子供1人700円、6歳以下は無料
予約制なので、事前予約が必要。サウナを利用する場合も別料金のため要確認
隣接のリゾート施設「Villa Stella」では、温泉以外にも1棟貸しのコテージもある
日生湾が眺められるバルコニーもあり優雅な時間が過ごせる
事前予約をすればバーベキューやエアストリームでの宿泊、クルージングも可能。これらの予約はパークではなく「Villa Stella」(https://villastella.jp/)から

Villa StellaとRVパークの管理人が一緒のため、混雑時でなければ釣り道具の貸し出しもしてくれる

備前らしさが感じられるグルメ・観光スポット

食事に関しては周辺やJR日生駅に向かう途中にいくつも魚介類を扱う店が点在。また地元のB級グルメである牡蠣が入ったお好み焼き「カキオコ」が食べられるお店も多いので、せっかく訪れた記念に食べてみるのもお薦め。ランチタイムなら日生漁港やその周辺にも食事処や海鮮BBQがあるので、ぜひとも足を運びたい。ちなみに一番近いコンビニはローソン 備前日生町日生店でパークからは約1.3km。

ごはん屋 ぼろ小屋

岡山県備前市日生町日生801-8。日生漁港目の前にある定食屋。訪れたのが牡蠣のシーズンではなかったため、刺身定食(1700円)を注文。新鮮な刺身に大満足だったが、次回はカキフライ定食を注文してみたい

海の駅しおじ

ごはん屋 ぼろ小屋の隣にあり、コンビニも併設。日生漁港の直営で、海鮮BBQが味わえる
事前にホームページから予約が必要。(https://www.hinase.net/)。牡蠣シーズンは多くの人で賑わう

日生が誇る人気B級グルメ「カキオコ」。日生町ではカキオコが食べられる店が多くあるので、ぜひとも味わいたい

観光については、徒歩圏内に日生漁港のそばに備前市加子浦歴史文化館があり、日生の歴史や文化が紹介・展示されているほか、日生駅方面にはBIZEN中南米美術館もある。こちらは日本でもとても珍しい中南米をテーマにした美術館で、所蔵する2700点もの土器や土偶、織物に金属器など、半年ごとにテーマを変更して展示。要電話予約なので、行く際は忘れずに。
ほかにも日本遺跡第一号に認定された「旧閑谷学校」はパークから約20km。日本刀で知られる備前刀など、刀剣の世界を展示・公開している備前長船刀剣博物館も約20kmのところにあり、備前の町並みと合わせ訪れてみるのもお薦め。今回は立ち寄れなかったが、JR香登駅から伊里駅周辺にかけて備前焼の窯元が点在しているので、窯元巡りをしてみるのもいいだろう。

RVパーク優活

〒701-3204 岡山県備前市日生町日生641-17

090-7051-0008

https://yuukatu-retreat.com/

<1泊 利用基本料金>

一般(クルマ1台):3850円~

<チェックイン/チェックアウト> 

チェックイン:14:00~18:00

チェックアウト:~12:00

※DATA <アイコン>

当日予約:○ WEB予約:○

トイレ:○(暖房便座) 炊事場:○ 入浴施設:○(温泉・有料) 

AC電源:○(無料) 発電機:○(20時まで) 

ゴミ処理対応:○(有料・550円) ダンプステーション:× Wi-Fi:○ 

コインランドリー:× キャンピングトレーラー:○ ペット:○