キャンピングカーの基礎知識

キャンピングカーのベース車を知ろう

ベース車に関する専門用語を解説

国産車から輸入車までさまざまなベース車があるキャンピングカー。ベース車によって違いがあるので、専門用語をしっかり理解して、自分のほしい1台を見つけよう。


「8ナンバー」「キャンピング車」

一般的なキャンピングカーの登録は、ナンバーの分類番号が8で始まる特種用途自動車で、車検証の車体の形状が「キャンピング車」となっている。車内で居住してキャンプすることを目的に、炊事や就寝設備を備え構造要件を満たしたクルマのこと。現在は、車内に就寝設備のみを備えるような車中泊モデルも多数あり、ベース車そのままのナンバーで登録できるものもある。

トヨタ・カムロード

カムロードとは貨物トラックのダイナ(トヨエース)をベースに、キャンピングカー用のベース車として開発されたクルマ。最大の特徴は、乗り心地の追求と車両安定性の向上。専用サスペンションを採用し、トレッドを拡大して安定性を高めている。近年はリヤタイヤをダブルにした仕様も追加され、安定性と荷重能力がさらに高まった。2WDはガソリンとディーゼルエンジン、4WDはディーゼルのみの設定。オルタネーターが強化され、発電量が大きいのも特徴だ。

ほかにもあるキャンピングカー専用シャシー

カムロードと同じライトトラックに位置付けられるキャンピングカー専用車がいすゞのびぃーかむ。ベースとなったのはエルフで、足まわりの強化を中心に、専用の仕上げが施されている。

バンコンのベース車で圧倒的な人気があるハイエースにもキャンパー専用車がある。おもにキャブまわりが上級グレードの内容となっているが、リヤはシートレスで架装しやすいのが特徴。スーパーロングのみに設定され、ビルダーの間では特装車とも呼ばれている。同様にNV350キャラバンにも専用車がある。このほか専用ではないが、各ビルダーがメーカーのディーラーに依頼する特別設定車もある。

ベース車ごとに異なる法定基準

キャブコンのベース車にライトトラックを使った場合、構造要件の法定基準は基本的に貨物車となる。それらはおもに駆動系で、ブレーキをはじめ、タイヤはライトトラック専用でないとダメ……など決まりがある。

輸入車ベースも存在する

キャンピングカー文化の歴史は外国のほうが長く、生産台数も圧倒的に多い。その完成車は日本にも多数輸入されている。それらのモデルのベース車も多くが貨物車。主流はフィアット・デュカトで、走行性能もよく荷重能力に余裕がある。

ガソリン車とディーゼル車

ガソリンかディーゼルか。そこで1つの目安としたいのが、どれだけ乗り続けるのか。ガソリン車の最大のメリットは、車両価格がディーゼル車に比べて安価なので初期投資を抑えられること。ただし低速トルクがもの足りなく、燃費もいいとはいえない。

逆にディーゼルであれば燃費もいいし、パワーやトルクも十分であらゆる場面で走りやすい。ただし、ガソリンに比べるとベース車の価格が高いし、近年は少し静かになってはいるがエンジン音がうるさいと感じる人も。

マイクロバスベースと軽自動車ベース

軽自動車がベースでも、架装後の車両サイズが軽自動車枠に収まっていない場合は普通車登録となり、高速道路料金や自動車税が高くなる。またマイクロバスをベースにしたモデルは、車両重量が8トン未満であれば普通車扱い。大きくても普通免許(取得年により異なる)で運転できる場合もあるのだ。

軽自動車のボディサイズの枠を超えた架装をしている車両は、ナンバーが白になる
軽自動車枠に収まる軽キャンパーは、黄色ナンバーになる

専用タイヤと荷重

先述したように貨物車はLT(ライトトラック)タイヤの装着が義務付けられている。また、タイヤにはロードインデックス(荷重指数)が設定され、すべてのタイヤに明記されている。これはタイヤ1本あたりの耐荷重で、車重に対してそれ以上の能力がないといけない。スタッドレスタイヤでも同じなので、装着の際は注意したい。

貨物車ゆえの荷重量と耐久性

キャンピングカーのベース車は国産・輸入を問わず、多くは貨物車が使われている。その理由はクルマ自体の耐久性が高いからだ。さらに、荷物を積むために設計されているだけあって、耐荷重能力が高く、決められた数値以下であれば架装も問題ないとされている。そのほか駆動系も普通車よりも耐久性が高い。

最大級のキャンピングカー

国産の場合、大型トラックをベースにしたモデルもあるが、それでも全長は10m以下。ところが海外には、それ以上のモデルも市販車として販売されている。それらは「バスコンバージョン(バスコン)」と呼ばれており、日本のマイクロバスベースと違い、大型バスのシャシーを使って架装している。けた違いの大きさと豪華さを持っているのだ。日本では道路運送車両の保安基準(長さ12m、幅2.5m、高さ3.8mを超えてはならない)により走行できないため、国内で見られるキャンピングカーの大きさにも限りがある。