カムロードベースキャンピングカーの「アレッタ」は、全長5m以下全幅2m以下という衝撃的なほどのコンパクトさ、それでいて狭さを感じない室内、さらに上級モデル同様の装備と、小さくとも堂々のたたずまいが魅力的だ。製造元のナッツRVの他モデルと比較も交え、2段ベッドモデル「タイプW」のポイントを解説する。
マルチルーム・2段ベッドつきでファミリーや積載重視派にオススメ
アレッタにはナッツRVの他のモデル同様に3タイプのレイアウトがある。このタイプWは「マルチルームあり」「後部が2段ベッド」というレイアウトだ。
エントランスを入ってすぐに対面式のリビングスペースがある。セカンドシート、サードシートとも大人2人ずつが座れ、サードシートは3点式シートベルトつき。これで合計6人乗車となる。エントランスの頭上には家庭用ルームエアコンが標準装備される。FFヒーターも標準装備されているし、ボディも床も断熱加工されているので夏冬とも快適が約束されている。全長が他モデルより短い分、キッチンカウンターが少し短くなっているが、跳ね上げ式の延長調理台が用意されているので作業に支障はない。
サードシートの後ろにマルチルームが用意されている。こちらも全長が短くなった影響でやや幅が削られている。しかし奥行きが確保されているおかげで、大人1人が縦になるのも横になるのもそれほど苦ではない。半防水の仕様なのでそのまま濡れ物や汚れ物もOKな収納庫やクローゼットとして使うこともできるが、多彩なオプションが用意されていることも忘れてはならない。温水シャワーキットをつけてシャワールームにするもよし、トイレルームにするもよし。トイレの種類も豊富に用意されていて、もちろん、この夏に販売が開始されたオリジナルトイレ「ルーシール」も選択可能だ。
そして、後部には2段ベッド。先輩モデルたちより短くした全長分は、先にあげたマルチルームやキッチン幅でおおかた吸収しているので、ベッドのサイズはしっかりキープしている。上下段とも長さは1806mmで、幅は狭い方が740mm、一番広い部分で860mmとなっている 。
2段ベッドは、このようにボディ左右のバゲッジドアとつながっている。長尺物も余裕で積めるし、使用人数によってはまるっと収納庫として考えてもいい。アレッタ タイプWにはこの2段ベッドのほかに、リビング部分をベッドにすることで1人、バンクベッドで2人が寝られる。
日本の道路事情にマッチする5m以下という選択肢
そもそも全長5m以下の何がすごいのかというと、何を置いても日本国内では「駐車場を選ばない」。これだけで無双が可能だ。製造元のナッツRVからは、昨年2023年の9月にそれまでの本格キャンピングカーより幅を80mm小さくした「ジープニー」というモデルがリリースされていた。ジープニーは全長4990×全幅2000mmで、これでもかなり小型で当時話題になったのだが、アレッタではそれを上回る全長3850×1950mmというコンパクトボディを実現。都市部でも取り回しが格段に楽になるのはもちろん、一般的な駐車場枠である「5m×2m」というスペースに余裕で収まる。キャンピングカーを選ぶ時の3大要素は「使う人数」「使用用途」「駐車場」と古より言われてきたが、その1つに対するナッツRVの最新の提案がこのアレッタだ。
さらにこのサイズ感だと「普通免許で乗れる」というメリットも。ご存じのとおり、平成29年(2017年)3月12日以降に普通免許を取得した人が乗れるのは総重量3.5トン未満の車両となっており、本格キャンピングカーは充実した装備や広い室内空間が魅力だが、大型だと重量オーバーのものも。キャンピングカーの未来を考えるうえではいずれ避けられない問題であり、それに対しても回答を提示したことになる。
小さくても上級モデル同様の装備の本格派
アレッタの大きな特徴であるサイズ感にこれまで触れてきたが、同じくコンパクトさで昨年話題を呼んだジープニーは813万円からという価格設定で本格キャンピングカーの間口を広げたことにもインパクトがあった。アレッタはガソリンモデルで950万円からと価格では勝負していないが、上級グレード同様の豪華装備を搭載している。普及価格帯のジープニーと小さくともハイエンドのアレッタという棲み分けだ。ジープニーがクレソンジャーニーのダウンサイジングならば、アレッタはクレアの妹分だろう。