ドリームドライブのハイエースキャンピングカー「TAMA(タマ)」は、天然木を張り込んだバンライフ調の室内のオシャレさに目が奪われがちだが、標準ボディ標準ルーフというコンパクトさ、最大6人が前向きで移動できる利便性、コンパクトボディからは想像がつかないほど開放感抜群な車内と見どころ満載。日常使いからキャンプ旅まで、これ1台で済ませたいというカップル・ファミリーにオススメだ。
シンプルレイアウトがゆとりの広さを生み出す
これがTAMAの室内レイアウト。前後反転しベッドにもなるセカンドシートと、横座りのソファ、カウンターというシンプルな構成。2点式シートベルトがついているセカンドシートは3人座れるタイプで、フロントシートも最大3人座れるので、合計で6人が前向きに移動できるのだ。そのため日常は大人数が移動できるワゴンとして活躍する。
ハイエースの標準ボディ標準ルーフは全長4695mm×全幅1695mm×高さ1980mmというサイズで、乗用車の5ナンバー条件が全長4700mm×全幅1700mm×高さ2000mm以下なので、実は5ナンバークラスの大きさ。同じメーカー元であるトヨタのアルファード(4995×1850×1935mm)よりも小さいし、ミニバン販売ランキング2023年下半期No.1だった日産のセレナの人気グレード・ハイウェイスターも4765×1715×1870mmで3ナンバーサイズなので、ハイエース標準ボディ標準ルーフの方が小さい。このサイズなら駐車場探しも苦にならないし、出先で立体駐車場にも入れる。運転に不安がある人でも、セレナより小さいと考えるとぐっと心理的ハードルが下がるのではないだろうか。
ボディサイズは小さくてもハイエースなので当然室内空間はしっかり確保されているので、荷物も大量に詰める。後部の家具のデザインが直線的で、ゴテゴテしたものがついていないシンプルなレイアウトなおかげで荷物の運搬車としての積載性も良好だ。
くつろぎモードのときはシートを反転させて、横座りのソファとL字のリビングスペースを形作る。セカンドシートとソファの間にはテーブルが立てられる。
テーブルは脚をこのスリットに差し込むことで安定性が増す。ほかのキャンピングカーではあまり見ないパーツだがしっかりした作りだ。テーブルの天板と脚は、不要な時はシートの下に収納できる。
キッチン部分は車両左カウンターに集約。手前の黒い円状の部分には標準装備の外部シャワーホースを接続できる。外部から使いやすいように、シンクはバックドア側に配置してある。バンコンのシンクというと、収納前提で水栓が折りたためるコンパクトな装備もよく採用されるが、TAMAではインテリアとしても映えるような使いでのあるものを採用していて、水圧も高く実際しっかり使える。
そして冷蔵庫はスライドドアすぐ脇に。こちらも外部から使いやすい位置が意識されている。冷蔵庫は上開き式で、容量は40ℓ。冷凍機能もついている。ウォールナット材の天板が美しい。
スイッチ類もここに集約。オプション設定のFFヒーターのコントローラーや、リチウムイオンバッテリーのモニターなどが並んでいる。ドリームドライブの電装系は、標準装備で100Ahのリチウムイオンバッテリー、パワープラスパッケージというオプションを選択するとさらに100Ahのバッテリーが増設できる。システムがRENOGYで組まれているのも信頼性が高い。さきほどの着脱式テーブルの作りといい、独自の視点でしっかりしたパーツを厳選して採用しているように見受けられる。
最後にベッドモードを紹介。最大で大人2人+子供2人のベッドスペースが作れるのだが、その展開はとても簡単。まず後ろのベッドは背もたれに使っていたマットを通路にはめるだけで完成。とても簡単で初心者にもやさしい。この部分だけで大人2人が寝られるスペースになるので、もしふたり旅ならこれだけで済ませて、セカンドシートを倒さずにソファとして残しておく選択肢もアリ。
セカンドシートも倒して全面ベッドにした状態がこちら。ハイエースの最大3000mmという荷室長が一面ベッドに。これで子供も一緒に休める楽しいベッド空間の完成だ。全面ベッドにしてもシンクや冷蔵庫はそのまま使えるし、キッチンカウンター前面には引き出しやネット収納もついているので物の置き場には困らない。シンプルながらよく考えられたレイアウト設計だ。
一目で心奪われるリアルウッドが織りなす癒しの内装
ドリームドライブの代名詞ともいえる天然木の内装にも触れておきたい。壁面と天井に、職人が1枚ずつ張り込むウッドの内装は普段使いでも気分があがるし、どんな旅先にも調和する優しい雰囲気。ボディの丸みに対して家具が直線的なデザインなので室内がすっきり見えるのも好印象だ。天井や壁面、ファブリックやキャビネットのカラーは複数色から選ぶことができ、アクティブな印象にも落ち着いたナチュラルな雰囲気にもコーディネートできる。ドリームドライブのホームページ上で色合わせのシミュレーションができるので、試行錯誤するのも楽しい。
機動力の高いハイエースの標準ボディ標準ルーフで作られたTAMAは、都市部でのワゴン的な使い方もできるし、小型なボディを活かしてどこへでも行ける、しかもシンプルなレイアウトのおかげで室内が広いとここまで紹介してきたが、じつは標準ボディハイルーフでも作ることができる。この場合は全高が高くなるので立体駐車場などには入れなくなるが、その分室内がさらに広がり、開放感ある車中泊旅をたのしめるようになる。機動力重視か、室内のゆとり重視か、使い方をぜひ想像してみてほしい。TAMAの価格は690万円から。