
キャンピングカーのベース車として圧倒的な人気を誇るが、2023年後半からなにかと供給不安定なハイエース。では、ライバル車の日産キャラバンをベースとしたらどうだろう?ということで、2024年に入り、多数のキャンピングカーメーカーがキャラバンをベースとしたキャンピングカーをリリースした。ここでは、2024年前半に発表されたキャラバンベースの新型キャンピングカーや、キャラバンベースに実績のあるメーカーのロングセラーモデルなど、旬なモデルを14台一挙紹介する。
※日産キャラバンは仕様変更が行われ、2024年6月上旬より仕様変更されたモデルが発売になる。ここで紹介するキャンピングカーの価格は2024年5月現在のものなので、価格は変更になる場合がある
目次
そもそもハイエースとどう違う?キャンピングカーのベース車としてのキャラバンの可能性

キャラバンがハイエースと最も大きく違うのは、ボディサイズの違い。特にスーパーロングは、
【ハイエース】
スーパーロング・ワイドボディ・ハイルーフ(5380×1880×2285mm)
【キャラバン】
スーパーロング・標準幅・ハイルーフ(5080×1695×2285mm)
スーパーロング・ワイド幅・ハイルーフ(5230×1880×2285mm)
このように、キャラバンは2タイプの設定がある。注目はスーパーロングの標準幅で、全長もハイエースのスーパーロングより短く、車幅もスリムなため、運転の取り回しに余裕が生まれるのだ。
また、上級グレードのプレミアムGX、GRANDプレミアムGXでは、セカンドシートが左右分割式になる。左右それぞのシートが独自にリクライニング、前倒し、シートごと前に倒してたたむことができる。このメリットは、片方のシートを残したまま、入口に近い方のシートを倒せば後部への行き来が楽になることだ。このギミックを活かしたキャンピングカーも登場している。

その他装備面は、上級グレードならば普通乗用車と遜色がないレベル。ナビ画面にはバックモニター機能もあり、オートエアコンやハンズフリー、デジタルルームミラーなど、移動に便利な機能はひととおり揃っている。

ロングボディ・標準幅・標準ルーフタイプ
まずは最も小型なロングボディ標準幅標準ルーフのモデルを紹介。このサイズの特徴は立駐OK!乗用車5ナンバーサイズなこと。取り回し抜群なので都市部でも運転が苦にならない。
また、プレミアムGX、GRANDプレミアムGX、オーテックバージョンという上級グレードが存在するのもポイント。ほぼ乗用車といっても過言ではないような運転席まわりの装備や内装質感が楽しめる。
キャンピングカーとしては、ファーストカーとしての使用を意識して、しっかり人数が乗れるモデルが多い。
【2024新型】オーロラエクスクルーシブアーチザン キャラバン/ケイワークス
充実装備と強力な電装装備、質感の高い内装で人気の「オーロラエクスクルーシブ アーチザン」シリーズ。これまでハイエースだけの設定だったが、2024年にキャラバンモデルが登場した。

7人乗車・2人就寝モデルで、サードシートをサイドソファ形式にすることで車内の動線を良くし、キャラバンの中では最も小さいロング標準幅モデルでも十分くつろげる広さを確保。
サイドソファの前にあるキッチンは、標準幅のモデルなのでスリムなものだが、跳ね上げテーブルを装備することでサイズを確保。ここをデスクにすればワーキングスペースとしても使える。写真はオーロラエクスクルーシブアーチザン キャラバンの中で執筆活動を行う山口。既存のシリーズモデルより天板は狭くなっているが、跳ね上げテーブルのおかげで遜色なく使える。サイドソファとの位置関係がとても良いので、座った状態での作業に最適だ。シンクも横にあるので、キッチンの調理台としても使える。

ベッドは、セカンドシートをフラットにし、サードシートを組み合わせることで完成。セカンドシートは移動中の座面はホールド性の高い成形タイプだが、ベッドにする面は平面なのでベッド時は完全なフラットとなる。サイズは2100×1000~1400㎜で、2名就寝が可能。

ケイワークスは以前からバッテリーをはじめとした電装システムに力を入れている。ソーラーパネルや大容量リチウムバッテリー、高出力インバーターを組み合わせた「メビウス」システムというオリジナルの高効率バッテリーシステムも開発されており、もちろんこのアーチザン キャラバンに搭載されている。
その電装システムで、DC12Vクーラー、電子レンジ、IH調理器、49ℓ冷蔵庫といった家電を稼働。クーラー本体を車内と同じ木目調にしているのも好印象だ。

【2024新型】スマートキャンパーGX-5sギア/フォーシーズ
ハイエース車中泊モデルを得意とするフォーシーズが手掛けたキャラバンモデル「スマートキャンパーGX-5sギア」は、車名にあるように5人乗り、そして「GX」とあるようにプレミアムGXグレードをベースにしている。このグレードを採用する最大の利点は、セカンドシートが左右分割式になるところだ。
まずは室内を見ていこう。セカンドシートは前述の通り左右分割式の純正シートを利用し、それより後ろを架装している。サイドソファと横長カウンターという構成。

ベッドは、シート下に収納されているベッド用の補助マットをシートとカウンターの間に置くだけと非常に簡単。サイズは1820×1200mmで、2人就寝。セカンドシートを前に倒せば、さらに広くなる。全体の印象は、シンプルで使いやすい車中泊仕様といったところ。

そしてここからが、キャラバンならではを活かしたギミックになる。キャラバンのセカンドシートは、プレミアムGX以上のグレードでは左右が分割形式となり、それぞれリクライング、前倒し、跳ね上げ格納ができるようになっている。つまり、出入り口にあたるどちらかのシートを跳ね上げ格納しておけば、居住部分と室外の行き来が格段に簡単になるし、大きな荷物の出し入れも簡単になる。キャラバンならば使わない手はない便利装備だ。

ウトネ300/アネックス
「ウゴク・ネル・トドマル」をコンセプトとしたアネックスの車中泊ライン「ウトネ」はこれまでハイエースとNV200ベースの2モデルがあったが、3モデル目となるウトネ300は7人乗車4人就寝のキャラバンベース。前2モデルはポップアップルーフつきだったが、ウトネ300は標準ルーフのまま。お値段もその分お手頃となっている。
室内は木材と金属を組み合わせたギア感ある風情が印象的。家具はアルミの角材に板をはめ込んで作っている。

レイアウトとして特徴的なのは、2列目3列目シートを乗せた超ロングスライドレール。かなり大胆な構成で、たとえば2つのシートを折りたたんで後ろにまとめると、スライドドア前に大きなスペースを作り出すことができる。大人2人までとペットなら、ここにケージを置いても良いかもしれない。

逆に2つのシートをたたんで前に寄せると、大きな縦長の収納スペースが作れる。自転車やボード類などの長尺物を積みたいならこちらのレイアウトだ。

ベッドはフロアベッドと上段ベッドの2段ベッド構成で最大4人就寝可能。ファミリーユースにもってこいの1台だ。

VR470P Type-1/バンレボ
「VR=バンレボリューション」と名付けられたバンレボのシリーズモデルは、200系ハイエースの発売と同時にスタートし、後にキャラバンにも対応し、今ではハイエースとキャラバンのすべてのボディサイズでVRシリーズが作られている。車名の「470」は車両の全長、「P」はポップアップルーフを表している。つまり470Pは全長4695mmのロングボディベースのポップアップルーフモデルで、5人乗車となる。
室内は前後反転できるセカンドシートと、マットを使ってつくるサードシートで対面を構成。

ポップアップルーフがあるので、標準ルーフサイズでも室内は立って歩けるし、開放感は圧倒的。ルーフの上げ下げはダンパーでサポートされているので、それほど力は必要ない。

フロアベッドはセカンドシートと補助マットで。さらに後部キャビネット上にマットを置いて上段ベッドを展開。これで大人3人+2人が寝られる。さらにポップアップルーフもベッドとなるので、合計3段ベッド!最大7人就寝という、このサイズの車両としては突出した大人数にベッドが用意ができる。車両サイズが小さいので、普段は5人乗りワゴンとしても使え、ファミリーユースに適している。

スペースキャンパー キャラバン/日産ピーズフィールドクラフト
日産ディーラーでもキャラバンベースキャンピングカーが作られている。日産ピーズフィールドクラフトは日産東京販売グループの企業で、日産ベース車のキャンピングカーを長く作っている。スペースキャンパー キャラバンはプレミアムGXをベースに制作されており、左右分割式のセカンドシートを左側のみ残すレイアウトが特徴的だ。

このように、スライドドア側の1脚のみ純正のセカンドシートを残している。これがどう役に立つかというと、運転席・助手席・そしてこのシートの合計3人までなら純正シートで前向き乗車ができるという点だ。3点式シートベルトがそのまま使え、ホールド感も良い。移動が格段に楽になるだろう。停車時は前に折りたたんでしまえば、後部への行き来も楽になる。
居住スペースは広々コの字タイプ。7人乗車モデルだがそれだけの人数が収容できるスペースがしっかり作られている。

ベッドは背もたれをはめ込むだけで作れるのでとても簡単。大人2人が就寝できる。クーラーやベンチレーターも標準装備なので室内は通年快適。さらにはFFヒーターや電子レンジ、電化製品を支えるバッテリーもリチウムイオンバッテリーを採用と、2人旅モデルとして充実の装備内容だ。

Lブリス/MDNマドンナ
ハイエースカスタムを得意とするMDNマドンナの「Lブリス」。ここでラインナップした14台の、ほかのどれとも違う大きな特徴はカスタムの圧倒的自由さだ。
標準で架装されるのは2列目の2脚のキャプテンシート、そして3列目のREVOシート、床張加工。これだけ。あとは豊富なパーツ群やシートサンプルから好みのものを選んで好みの形態を作り上げていくのだ。

このカスタムもあくまでVIPな雰囲気を意識した架装の一例でしかない。自分のセンスに合わせたカスタムを相談してみよう。

▼Lブリスについては、こちらで詳しく紹介
Bタイム/RVビックフット
RVビックフットのBタイムはセカンドシートはそのままで、後部空間のみを架装したシンプル車中泊モデル。後部に移動中の座席は設定しない5人乗車モデルだが、展開不要で2人がゆったり寝て移動できるモデルとしてはよく作り込まれている。

上部収納庫は標準装備。ベッド下にもしっかり荷物が入れられる。また、本格的なキャンピングカー同様にサブバッテリー、走行充電や外部充電入力装置などが設定されているのもありがたい。

キャラバン マルチベッド/日産モータースポーツ&カスタマイズ
日産が販売する車中泊仕様で、全国野日産ディーラーで買えるのがキャラバン マルチベッドの最大の特徴。セカンドシートまでは純正そのままで、後ろのスペースすべてを使ってベッドキットを装備する。ベッドキットはトランスポーターの最大手ブランド「オグショー」製。二の字シートで対面リビングとしても、シングルベッド2つとしても、全面ベッドとしても使える可変性の高さで、シート地が純正シートと同じものを使えるというのは、メーカーファクトリーならではといえる。

プレミアムGXとGRANDプレミアムGXに設定され、左右分割式シートが使えるので、後部との行き来も簡単。ベッドキットを跳ね上げて収納すれば、荷室をフルで使うことも。シンプルで拡張性の高い1台だ。
